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墓じまいを一部だけする方法|遺骨の一部・区画縮小

最終更新日:2026年9月28日|監修(法務):司法書士・行政書士 久留慎一郎|作成:安心墓じまい事務局(相談窓口責任者 田所)

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →

監修者プロフィールの詳細

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 改葬・墓じまいの手続き
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

「墓じまいをしたいが、遺骨や墓石のすべてを動かすのは気が引ける」という方に向けた記事です。結論から言うと、墓じまいは全部を一度に手放す必要はなく、①遺骨の一部だけを改葬して残りは今のお墓に残す、②墓石はそのまま残して区画(敷地)だけを縮小する、③分骨で複数の供養先に分ける、の3つの「一部だけ」パターンがあります。それぞれ改葬許可の要否・墓地管理者との調整・費用の目安が異なるため、この記事では自分のケースがどれに当てはまるかを判断できるよう、比較表とチェックリストを使って整理します。

目次

墓じまいを「一部だけ」行う3つのパターン

「墓じまい 一部」と検索する方が想定しているケースは、大きく分けて3つあります。まずは自分がどのケースに近いかを、下の比較表で確認してください。

ケース別比較表(改葬許可・墓石・費用感)

ケースやること改葬許可墓石向いている人
①一部改葬遺骨の一部だけ取り出し、他の供養先へ移す移す遺骨の数だけ必要そのまま残す両親などの遺骨だけ手元・別の供養先に移したい
②区画縮小遺骨は全部残し、墓石・敷地だけ小さくする不要(改葬に該当しない)建て替え・移設お墓は残したいが管理の負担を減らしたい
③分骨遺骨の一部を分けて、複数の場所で供養する不要(分骨証明書で対応)そのまま残すお墓は維持しつつ手元供養や散骨も併用したい

3つとも「全部を一度に動かさない」点は共通していますが、法律上の扱いはまったく異なります。①は法律上の「改葬」に該当するため改葬許可証が必要ですが、②と③は現在のお墓から遺骨を他の墓地・納骨堂へ移すわけではないため、改葬許可申請は不要です(分骨は分骨証明書で対応します)。次の章から、それぞれの手続きと費用を具体的に見ていきます。

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①遺骨の一部だけを改葬する方法と必要書類

「両親の遺骨だけ手元供養にしたい」「先祖代々の遺骨のうち、思い出の深い家族の分だけ永代供養墓に移したい」というように、遺骨の一部だけを別の供養先へ移すことは可能です。墓地埋葬法上、改葬許可の申請・審査は遺骨(焼骨)1体ごとに行われるため、複数体のうち一部だけを対象にすることに法的な制約はありません。ただし、実務上は次の2点を必ず確認する必要があります。

改葬許可申請は遺骨1体ごとに必要

改葬許可申請書は、移動させる遺骨の数だけ必要になるのが原則です(自治体によっては同一改葬先であれば1枚に複数名分をまとめて記載できる様式もあります)。一部改葬の場合、申請書に記載するのは「移す遺骨」の情報のみで、お墓に残す遺骨については記載・申請は不要です。墓地埋葬法第2条3項では改葬を「埋蔵した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しており、対象が遺骨の一部であっても定義上の扱いは変わりません。

墓地管理者への「一部改葬」の可否確認が必須

法律上は問題がなくても、実務では墓地・霊園の管理規則や、同じお墓に埋葬されている親族の合意が必要になる場合があります。特に寺院墓地では、遺骨の一部だけを取り出すこと自体に住職の立ち会いや閉眼供養を求められることが多く、事前の相談なしに進めるとトラブルの原因になります。次のチェックリストを使って、着手前に確認しておきましょう。

一部改葬の事前確認チェックリスト(印刷してご利用ください)

  • □ 移す遺骨と残す遺骨を、誰の遺骨か特定できている(骨壺の記名・埋葬時の記録などで確認)
  • □ 墓地管理者(寺院・霊園事務所)に「一部の遺骨だけ取り出せるか」を確認した
  • □ 一部の遺骨を取り出す際の閉眼供養・魂入れの要否を管理者に確認した
  • □ 同じお墓に関わる他の親族(祭祀承継者・兄弟姉妹など)の同意を得た
  • □ 新しい供養先(改葬先)を決め、受入証明書を受け取れる状態にした
  • □ 現在お墓がある市区町村の窓口で、改葬許可申請書の様式を確認した
  • □ 残す遺骨側の埋蔵状況(骨壺の劣化・カロート内のスペース)を確認した

特に見落とされやすいのが「残す遺骨側の管理」です。一部の遺骨を取り出す際にカロート(納骨室)を開けるため、このタイミングで残りの遺骨の骨壺の状態(破損・土に還っているかなど)も一緒に確認しておくと、将来の墓じまいや追加の改葬を検討する際に役立ちます。

②墓石を残して区画(敷地)だけ縮小できるか

「遺骨も墓石もこのまま残したいが、区画が広すぎて管理費・清掃の負担が大きい」という理由から、区画の縮小だけを希望される方もいます。結論としては、区画の縮小は法律上の「改葬」には該当しませんが、実現できるかどうかは墓地・霊園の使用規則次第です。多くの霊園では、区画の面積は使用許可(永代使用権)の契約内容として固定されており、管理者の承諾なしに一方的に縮小することはできません。

区画縮小の一般的な流れ

  1. 墓地管理者(霊園事務所・寺院)に区画縮小が可能な区画分けや前例があるか相談する
  2. 可能な場合、既存の墓石を一度解体し、必要な範囲を残して縮小した基礎に据え直す(または墓石自体を小型のものに建て替える)
  3. 不要になった区画の使用権を管理者に返還する(永代使用料の一部返還は原則なしとする霊園が多い)
  4. 返還区画の整地・墓石の一部撤去工事を行う

区画の一部だけを返還して墓石をそのまま新しい範囲に据え直す工事は、通常の墓じまい(全部撤去)よりも据え直し作業の分だけ工程が増えるため、費用面では「全部撤去より必ず安くなる」とは限らない点に注意が必要です。見積もりの際は「区画全体の撤去費用」と「据え直しを含む一部縮小費用」の両方を比較することをおすすめします。

なお、墓地埋葬法や関連の施行規則には「区画の縮小」という手続きそのものを直接定めた条文はありません。区画の面積・形状は、あくまで墓地開設者(自治体・寺院・公益法人など)が個別に定める使用規則・永代使用契約の範囲内の話であり、認めるかどうかは管理者ごとの裁量になります。そのため、同じ市区町村内の霊園であっても、区画縮小の可否や条件は霊園によって異なります。事前相談なしに墓石の一部を撤去してしまうと、契約違反として原状回復を求められるおそれもあるため、必ず書面(使用規則・契約書)を確認したうえで、管理者の承諾を得てから着手してください。

区画縮小・一部改葬の費用目安表

内容費用目安備考
遺骨の一部取り出し・閉眼供養3万〜10万円お布施の目安。宗派・寺院により異なる
一部改葬の改葬許可申請数百円〜無料自治体により異なる。遺骨1体ごとに手数料がかかる場合あり
区画の一部撤去・整地5万〜20万円撤去する面積・墓石の据え直し有無で変動
墓石の解体・据え直し10万〜40万円据え直しをせず新しく小型の墓石に建て替える場合は別途墓石費用が発生
分骨証明書の発行手数料数百円程度例:火葬場での分骨証明は1件あたり300円程度(自治体・火葬場により異なる)

墓じまい全体の費用相場については墓じまいの費用相場のページでも詳しく解説しています。

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「一部改葬」と「分骨」の違い

「一部改葬」と「分骨」はどちらも遺骨の一部だけを動かす点は共通していますが、法律上の扱いと必要な手続きが異なります。違いを整理すると次のとおりです。

項目一部改葬分骨
定義遺骨の一部を、元のお墓から別の墳墓・納骨堂へ「移す」こと遺骨を分けて、複数の場所で供養すること(元のお墓に残す分もそのまま維持できる)
元のお墓の遺骨移した分は元のお墓からなくなる分けた後も、残りの遺骨は元のお墓に残せる
必要な書類改葬許可証(市区町村長発行)分骨証明書(火葬場または墓地管理者発行)
手数料の目安自治体により無料〜数百円火葬場での発行は数百円程度が多い(例:千葉市は1件300円)
法律上の位置づけ墓地埋葬法上の「改葬」に該当改葬には該当しない(法律・宗教上の制約なし)

千葉市の公式ページでも、改葬は「遺骨を分けずに別のお墓に移すこと」、分骨は「焼骨の一部を別のお墓に埋蔵したり手元供養したりするため分けること」と明確に区別されています。迷った場合は、現在お墓がある市区町村の窓口(生活衛生・環境衛生を担当する課)に、自分のケースがどちらに該当するかを確認するのが確実です。

ケース別シミュレーション:自分の場合はどれに当てはまる?

実際の相談でよくある3つのケースをもとに、どのパターンに当てはまるかを整理しました。

ケース1:両親の遺骨だけ取り出し、他の先祖の遺骨はお墓に残したい

該当パターン:①一部改葬。両親の遺骨を対象に改葬許可申請を行い、永代供養墓・樹木葬・手元供養など新しい供養先へ移します。お墓に残る先祖の遺骨については申請不要ですが、墓地管理者に「一部の遺骨だけ取り出すこと」への同意を得ておく必要があります。

ケース2:お墓は維持しつつ、遠方に住む兄弟の分だけ手元供養にしたい

該当パターン:③分骨。お墓を維持したまま、対象の遺骨だけを分けて手元供養用に取り出します。墓地管理者から埋蔵証明書(または分骨証明書)を発行してもらえば手続きは完了し、改葬許可申請は不要です。

ケース3:遺骨はすべて残したいが、区画が広すぎて管理費の負担が大きい

該当パターン:②区画縮小。まずは墓地管理者に区画縮小の可否と前例を確認します。承諾が得られれば、墓石の解体・据え直しと不要区画の返還工事を行います。改葬許可は不要ですが、工事内容によっては全部撤去より費用が高くなることもあるため、事前見積もりでの比較が重要です。

よくある質問

Q. 一部の遺骨だけ改葬した場合、残りの遺骨のお墓の名義はどうなりますか?

お墓自体を存続させる場合、名義(使用権)や管理は従来どおり祭祀承継者が引き継ぎます。一部改葬によってお墓そのものがなくなるわけではないため、名義変更の手続きは通常発生しません。

Q. 分骨した遺骨を、あとから改葬先へさらに移すことはできますか?

可能です。分骨後、手元供養していた遺骨を別の墓地・納骨堂へ納める場合は、その時点で新たに改葬許可申請(または受入先の証明手続き)が必要になることがあります。事前に受入先の管理者へ確認してください。

Q. 墓地管理者が「一部だけの取り出しは認めない」と言われたらどうすればいいですか?

寺院墓地では、離檀や部分的な改葬に難色を示されるケースもあります。まずは理由(離檀料の交渉状況、他の親族との関係など)を丁寧に確認し、必要であれば親族を交えて話し合いの場を持つことをおすすめします。話し合いが難航する場合は、行政書士や自治体の相談窓口に間に入ってもらう方法もあります。

Q. 区画を縮小したら、永代使用料の一部は返還されますか?

多くの霊園では、永代使用料は一度納めると原則返還しない規定になっています。区画を縮小・返還しても使用料の一部払い戻しが受けられるとは限らないため、契約時の規約または管理事務所への確認が必要です。

Q. 一部改葬の費用は、全部を墓じまいする場合よりも必ず安くなりますか?

必ずしも安くなるとは限りません。閉眼供養や工事は「一部だけ」でも発生するため、遺骨・墓石の量に対して工事の手間が大きい場合、1件あたりの単価は全部撤去より割高になることがあります。特に区画縮小で墓石の据え直しが必要な場合は、全部撤去して墓石も処分するケースより高額になることもあるため、複数のケースで見積もりを比較することをおすすめします。

まとめ

墓じまいは「全部を一度に手放す」以外にも、①遺骨の一部だけを改葬する、②墓石を残して区画だけ縮小する、③分骨で複数の供養先に分ける、という3つの「一部だけ」の選択肢があります。①は墓地埋葬法上の改葬に該当し、移す遺骨の数だけ改葬許可申請が必要です。②③は改葬許可申請は不要ですが、いずれのケースでも墓地管理者への事前確認と、同じお墓に関わる親族の同意が欠かせません。自分のケースがどのパターンに当てはまるか迷う場合は、まず墓地管理者と自治体の窓口に相談し、そのうえで必要な書類・費用を確認していくことをおすすめします。

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この記事の監修者

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →

監修者プロフィールの詳細

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 改葬・墓じまいの手続き
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理
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この記事を書いた人

資格:終活カウンセラー。安心墓じまい 相談窓口責任者。幼少期の祖父母との温かい思い出を原点に、「誰もが迷わず、安心して終活を終えられる社会」を目指して、墓じまいから実家じまいまで終活全般の相談窓口を務める。ライフワークとしてYouTubeで高齢者の方々への人生インタビューを続け、シニア世代の本音に寄り添うカウンセリングを最も得意とする。記事は自治体・厚生労働省などの公的一次情報にもとづき、編集部とともに執筆・確認。

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