
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
結論から言うと、墓じまいの費用は「値引き交渉」で下がる部分と、下がらない部分がはっきり分かれています。相見積もりを使えば撤去工事費は数万円単位で下がる余地がありますが、離檀料や行政手数料は交渉になじまず、無理に値切ろうとするとお寺との関係がこじれるだけです。さらに、値引き交渉に何日もかけるより、最初から追加費用のない定額プランを選んだほうが総額は安く、手間もかからないケースが多くあります。この記事では、どこが削れてどこが削れないのかを一覧で示したうえで、繁忙期を避ける方法や供養先の見直しで下げる方法、値引き交渉と定額プランを比べたケース別シミュレーションまで、実際に見積もりを取る前に使える形でまとめました。値引き交渉のコツだけでなく、交渉に応じてもらいやすい条件、交渉が逆効果になるケース、手続きの順番による費用差までを通して読めば、見積もりを依頼する前に何を確認すればよいかが具体的にわかります。
墓じまいの値引き交渉、結論として何が下がるか
墓じまいの費用は、大きく分けて「撤去工事費」「離檀料」「改葬先(新しい供養先)の費用」「行政手数料」の4つで構成されています。このうち、値引き交渉が意味を持つのは実質的に撤去工事費だけです。離檀料はお布施という性質上、値切る交渉自体がなじみません。行政手数料は自治体が条例で定めた固定額で、交渉の余地はゼロです。改葬先の費用は「値引き」ではなく「供養方法そのものを見直す」ことで下がります。つまり、値引き交渉という言葉が使えるのは費用全体の一部分に限られる、というのが最初に押さえておくべき事実です。
4つの費用区分と交渉の可否(一覧表)
| 費用区分 | 相場目安 | 値引き交渉 | 下げる方法 |
|---|---|---|---|
| 墓石の撤去工事費 | 10万〜40万円(1㎡あたり約8万〜15万円) | 可能 | 相見積もりで業者間を比較する |
| 離檀料(お寺の場合) | 3万〜20万円程度 | 基本的に不可 | 金額提示前に早めに相談する |
| 改葬先の費用 | 合祀・送骨3万〜10万円、樹木葬20万〜80万円、納骨堂20万〜150万円 | 値引きではなく選び直し | 供養方法を合祀・送骨に変更する |
| 行政手数料(改葬許可申請) | 無料〜2,000円程度(自治体により異なる) | 不可(条例で固定) | 下げる余地なし。自分で申請すれば代行手数料は不要 |
この表からわかる通り、「値引き交渉のコツ」を突き詰めても下がるのは総額のうち撤去工事費の部分だけです。総額を大きく下げたい場合は、値引き交渉よりも改葬先の見直しや、追加費用の出ない定額プランを選ぶほうが効果が大きいことを先にお伝えしておきます。
費用全体の内訳は墓じまいの費用相場でも解説しています。
なぜ「値引き」という言葉が誤解を生みやすいのか
墓じまいの見積もりを検索する方の多くが「値引き交渉のコツ」を探していますが、実際の現場で起きているのは、値引きというより「作業範囲の比較による適正価格の把握」です。石材店の撤去工事費は、同じ面積・同じ石塔の数でも、重機の搬入経路、既存の外柵の量、産業廃棄物の処分ルートによって原価が変わります。1社しか見積もりを取っていない場合、その金額が相場なのか割高なのか判断する基準がありません。相見積もりは「値切るための材料」であると同時に、「その業者の金額が妥当かどうかを確認する手段」でもあると理解しておくと、交渉の場でも冷静に話を進められます。
相見積もりを値引き材料として使う3ステップ
撤去工事費を交渉で下げたいなら、相見積もりが唯一かつ最も効果的な方法です。同じ区画・同じ条件でも、業者によって提示額は数万円から十数万円単位で変わります。ただし、ただ見積もりを集めるだけでは値引き材料になりません。次の3ステップで進めてください。
ステップ1:条件をそろえて2〜3社に依頼する
比較の前提がずれていると、金額差が「交渉の材料」にならず単なる誤差になってしまいます。依頼する業者すべてに、墓地名・区画の面積・石塔の数・現地の写真(通路の幅や重機が入れるかどうかがわかるもの)を同じ形で伝えてください。口頭だけで依頼すると業者ごとに前提条件が変わり、比較できない見積もりが返ってきます。
ステップ2:総額ではなく内訳を並べて比較する
「総額が一番安い業者」に飛びつくのは危険です。見積書に含まれる作業範囲(遺骨の取り出し、基礎解体、廃材処分、整地まで含むか)が業者ごとに違うと、後から追加請求が発生することがあります。総額だけでなく、下のチェックリストの項目を1つずつ埋めて比較してください。
ステップ3:一番安い見積もりを他社に見せて再提示を依頼する
内訳をそろえたうえで最も安い見積もりが決まったら、他の業者に「他社は〇〇円でした。同じ作業範囲で再提示は可能ですか」と伝えます。ここで大切なのは、値切ること自体を目的にせず、作業範囲が同じであることを前提に交渉する点です。作業範囲を削って金額だけ合わせる業者もあるため、再提示後は必ず内訳を再確認してください。
実際に伝える際の言い回しの例を挙げます。「〇〇石材店様で、御社と同じ2㎡・石塔1基・整地までの作業範囲で見積もりを取ったところ、総額〇〇円というご提示をいただきました。作業内容が同じであれば、御社でも近い金額でのご対応は可能でしょうか」というように、比較対象の作業範囲を具体的に伝えることがポイントです。金額だけを伝えて「もっと安くしてほしい」と依頼すると、業者側は何を基準に検討すればよいかわからず、結局は作業範囲を削った再提示になりがちです。
交渉に応じやすい業者・応じにくい業者の特徴
すべての業者が同じように値引き交渉に応じるわけではありません。傾向として、次のような違いがあります。
| 特徴 | 交渉のしやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 自社で撤去工事を行う業者(自社施工) | 応じやすい | 下請け業者への支払いが発生しないため、利益幅の調整がしやすい |
| 仲介のみで下請けに丸投げする業者 | 応じにくい | 下請けへの支払い額が決まっており、業者側の裁量が小さい |
| 閑散期(1月・6月・11月頃)に依頼した場合 | 応じやすい | 日程に余裕があり、受注を優先しやすい |
| 繁忙期(お盆前・お彼岸前)に依頼した場合 | 応じにくい | 依頼が集中し、値引きをせずとも受注が埋まる |
| 指定石材店制の墓地 | 交渉の余地がほぼない | 他社と比較できないため、価格競争が働かない |
この表からも、値引き交渉の成否は「話し方のうまさ」よりも「どの業者に、いつ、どんな条件で依頼するか」で大きく決まることがわかります。
印刷して使える見積もり比較チェックリスト
見積もりを依頼する際、あるいは見積書を受け取った際に、この項目を1つずつ確認してください。
- □ 墓石の撤去・解体費が含まれているか(1㎡あたりの単価も確認)
- □ 基礎(コンクリート土台)の解体・撤去が含まれているか
- □ 廃材の運搬・処分費が別途加算されないか
- □ 遺骨の取り出し作業が含まれているか
- □ 整地(更地に戻す作業)までが範囲に入っているか
- □ 現地までの出張費・重機の搬入費が別枠でかからないか
- □ 支払いのタイミング(着手金の有無、工事完了後の残額払いかどうか)
- □ 見積もりの有効期限と、追加費用が発生する条件が明記されているか
お墓の広さや場所から、費用の目安がわかります。
かんたんな質問に答えるだけで、墓じまいの費用イメージがすぐに確認できます。匿名・無料でご利用いただけるシミュレーターをご用意しました。
無料費用シミュレーターを試す→値引き交渉の会話例:良い例と悪い例
同じ「値引きしてほしい」という意思を伝える場合でも、伝え方によって業者側の受け止め方は大きく変わります。実際の相談窓口で見られる典型的なやり取りを、良い例と悪い例に分けて紹介します。
悪い例:金額だけを伝えて値切る
「他社はもっと安かったので、もう少し安くしてもらえませんか」とだけ伝えるケースです。業者側は比較対象の作業範囲がわからないため、金額を下げる代わりに廃材処分や整地の範囲を減らして帳尻を合わせる、あるいは「その金額ではお受けできません」と断られる、のいずれかになりがちです。結果として、値引き交渉が総額の削減につながらないことが多くあります。
良い例:作業範囲をそろえたうえで相談する
「見積書を拝見しました。御社の見積もりには重機の搬入費が含まれていますが、他社の見積もりでは同じ作業範囲で〇〇円でした。作業内容が同じ前提で、金額のご相談は可能でしょうか」というように、比較の前提となる作業範囲を具体的に示したうえで相談すると、業者側も検討しやすくなります。この際、値引きに応じてもらえなくても、作業範囲の違いが明確になるため、結果的に適正な業者選びにつながります。
地域による交渉のしやすさの違い
都市部は石材店・墓じまい業者の数が多く、相見積もりによる価格競争が働きやすい傾向があります。一方、地方や過疎地域では対応できる業者自体が少なく、選択肢が限られるため、値引き交渉の余地は都市部より小さくなりがちです。地方で墓じまいを検討する場合は、値引き交渉に時間をかけるより、遠方からでも依頼できる業者を早めに探し始めることが、結果的に総額と手間の両方を抑えることにつながります。
また、遠方に住んでいて現地に頻繁に足を運べない場合、相見積もりのための現地立ち会いを何度も設定すること自体が負担になります。この場合は、写真や動画でのやり取りに対応している業者を選ぶ、あるいは現地確認から撤去・供養先の案内までを一括で任せられる代行サービスを利用することで、交渉にかかる移動の手間を省けます。
削れる項目・削れない項目(無理な交渉は逆効果)
削れる:撤去工事費
撤去工事費は業者の利益幅が含まれる部分のため、相見積もりによる価格競争が最も効きます。特に、寺院・霊園側が石材店を指定していない「自由墓地」であれば、複数業者を比較できる余地が大きくなります。一方、指定石材店制の墓地では他社を入れられないため、この方法自体が使えない点に注意してください。指定の有無は、見積もりを依頼する前に墓地の管理者に確認しましょう。
撤去工事費のうち、特に交渉余地が大きいのは「重機の搬入費」と「廃材処分費」です。重機が入れる区画かどうかで作業日数・人工(にんく)が変わり、見積もり額に数万円の差が出ます。現地が狭い、階段が多いといった理由で手作業が中心になる場合は、値引きよりもむしろ増額の要因になるため、事前に業者へ現地写真を送って概算を取っておくと、当日の想定外の追加費用を防げます。
削れない:離檀料
離檀料はお布施であり、対価としての値引き交渉にはなじみません。国民生活センターには、墓・葬儀サービスについて「価格やサービス内容の説明が不十分」といった相談が寄せられており、金額提示後にもめるケースが少なくないとされています(出典は記事末尾)。離檀料で失敗しないコツは、値引きを求めることではなく、改葬の意向を早い段階で丁寧に伝え、金額提示の前に相談しておくことです。すでに高額な金額を提示され納得できない場合は、地域の消費生活センター(全国共通ダイヤル188)に相談する方法もあります。
削れない:行政手数料
改葬許可申請の手数料は自治体の条例で決まっており、無料としている自治体が多いものの、有料の場合も金額は固定です。交渉の対象にはなりません。金額は自治体ごとに条例で個別に定められているため、正確な金額は申請先の自治体の公式サイトまたは窓口で確認する必要があります。行政書士に書類作成を依頼する場合の報酬は行政書士ごとに異なりますが、これは行政手数料とは別枠の費用です。書類作成が難しい場合は、提携の行政書士をご紹介することもできます(ご契約・報酬のお支払いは行政書士と直接となります。改葬許可の取得自体を代行することはできません)。
手続きの順番を間違えると、値引き交渉より高くつくことがある
値引き交渉のテクニック以上に総額へ影響するのが、手続きの順番です。墓じまいでは「改葬先を決める→現在の墓地管理者から埋葬証明をもらう→改葬許可を申請する→閉眼供養と撤去工事を行う→改葬先に納骨する」という流れが基本ですが、撤去業者を先に決めてから改葬先を探し始めると、次のような無駄な費用が発生しがちです。
- 撤去日程を先に確定してしまい、改葬先探しが間に合わず、遺骨の一時保管費用(数千円〜数万円)が余分にかかる
- 改葬先の費用を確認しないまま契約し、後から個別墓を選んで総額が想定より大きく膨らむ
- 離檀料の相談前に撤去業者と契約し、お寺との関係が悪化して手続きが長引く
値引き交渉に時間をかける前に、まず改葬先を決め、離檀料についてお寺に相談し、そのうえで撤去業者の相見積もりを取る、という順番を守るだけで、結果的に無駄な追加費用を避けられます。手続き全体の流れは墓じまいの流れで詳しく解説しています。
値引き以外で下げる2つの方法
繁忙期(お盆・お彼岸前)の依頼を避ける
石材店・墓じまい業者は、お盆前(7月〜8月上旬)やお彼岸前(3月・9月)に依頼が集中し、日程に余裕がない時期は値引き交渉に応じてもらいにくくなります。逆に、依頼が落ち着く時期(1月・6月・11月頃)は業者側にも日程の余裕があり、相見積もりの交渉に応じてもらいやすい傾向があります。急ぎでない場合は、繁忙期を避けて依頼時期をずらすだけでも交渉が通りやすくなります。
供養先の見直しで下げる(値引きより効果が大きい)
総額を大きく下げたいなら、撤去工事費の値引き交渉より、改葬先(新しい供養先)の選び方を見直すほうが効果的です。個別の納骨堂や樹木葬を選ぶと20万〜150万円かかるのに対し、合祀墓や送骨サービスなら3万〜10万円程度に収まります。撤去工事費の値引き交渉で下がる金額はせいぜい数万円ですが、供養先の見直しは数十万円単位で総額を下げられます。改葬先の選び方は改葬先の選び方で詳しく解説しています。
供養先の見直しでどれだけ下がるか(試算)
| 改葬先の選択 | 費用目安 | 撤去工事費の値引き交渉と比べて |
|---|---|---|
| 個別墓(一般墓)を新たに建てる | 100万〜300万円 | 値引き交渉の効果は誤差の範囲 |
| 納骨堂(屋内) | 20万〜150万円 | 値引き交渉より供養先の選択が総額を左右する |
| 樹木葬 | 20万〜80万円 | 同上 |
| 合祀墓(永代供養) | 3万〜10万円 | 撤去工事費の値引き交渉より数十万円単位で安くなる |
| 送骨(郵送での納骨) | 2万〜5万円程度 | 最も費用を抑えやすい。現地に行けない場合にも有効 |
この試算からわかるように、撤去工事費を値引き交渉で数万円下げる努力よりも、改葬先を個別墓から合祀・送骨に変更するほうが、総額に与える影響ははるかに大きくなります。値引き交渉に時間をかける前に、まず改葬先の候補を見直すことをおすすめします。ご遺族の意向によっては個別のお墓を残したいという場合もあるため、費用面だけでなく、家族・親族間での話し合いを先に済ませておくことも大切です。
ケース別シミュレーション:値引き交渉 vs 定額プラン
ここまでの内容を踏まえて、値引き交渉に時間をかけた場合と、最初から追加費用のない定額プランを選んだ場合の総額を比較します。いずれも改葬先は合祀墓を想定した目安です。
| ケース | 撤去工事費 | 手間・時間 | 追加費用のリスク | 総額目安 |
|---|---|---|---|---|
| A:自分で3社に相見積もり+値引き交渉(面積2㎡・石塔1基) | 18万〜25万円(交渉後) | 業者選定・現地立ち会いに数週間 | 作業範囲の見落としで追加請求の可能性あり | 25万〜40万円+改葬先費用 |
| B:安心墓じまいの定額プラン(面積2㎡まで・石塔1基) | プランに含む | 見積もり・比較の手間なし | 追加費用なし(着手金+完成後の残額払い) | 198,000円(税込)〜+改葬先費用 |
| C:自分で相見積もり+交渉(面積3㎡超・重機搬入が難しい立地) | 35万〜50万円(交渉しても下がりにくい) | 業者選定・現地確認に加え、立地条件の再見積もりで長期化しやすい | 現地条件による追加費用が発生しやすい | 45万〜65万円+改葬先費用 |
ケースCのように、面積が広い、あるいは重機の搬入が難しい立地では、そもそも業者間の金額差が小さくなり、値引き交渉の効果も限定的になります。このような条件では、事前に現地写真を複数業者に送り、実際に見積もりを取った段階で総額を確定させることが、交渉の成否よりも重要になります。
ケースAは、うまく交渉できれば撤去工事費そのものは下がる可能性があります。ただし、業者選び・現地確認・見積書の内訳チェックに数週間かかること、作業範囲の見落としで結果的に追加費用が発生するリスクがあることは踏まえておく必要があります。ケースBは、交渉の手間をかけない代わりに、着手金と工事完了後の残額払いのみで追加請求がない点が特徴です。「値引き交渉に時間をかけられる」「指定石材店ではない墓地で複数業者を比較できる」場合はケースA、「手間をかけたくない」「追加費用の不安をなくしたい」場合はケースBが向いています。ご自身の状況に合わせて、まずは料金プランをご確認ください。料金の詳細は料金プランをご覧ください。
自分でやるか、任せるか迷ったら。
安心墓じまいは定額制・追加請求なし・着手金+完成後の残額払い。遺骨の取り出しから撤去、供養先のご案内までお任せいただけます。
自治体の補助金は「値引き」とは別に確認する
値引き交渉とあわせて確認しておきたいのが、自治体の補助金・助成金制度です。すべての自治体にあるわけではありませんが、公営墓地を返還して合葬墓へ移る場合に、墓石撤去費の一部を助成する制度を設けている自治体もあります。補助金は業者への値引き交渉とは別の仕組みで、多くの場合「工事前の申請」が条件になっているため、撤去工事を始めてから申請しても対象外になることがあります。お住まいの自治体(または墓地がある自治体)に補助金制度があるかどうかは、契約前に自治体の公式サイトで確認してください。制度がある自治体の例は墓じまいの補助金で紹介しています。
値引き交渉が逆効果になるケース
値引き交渉には限界があり、無理に進めると逆効果になる場合もあります。次のようなケースは注意してください。
- 相場から大きく外れた極端な安値を提示する業者:作業範囲を削っているか、後から追加請求される可能性があります
- 指定石材店制の墓地で他社を持ち込もうとする:管理者とのトラブルにつながります。事前に確認しましょう
- 離檀料を強く値切ろうとする:お寺との関係が悪化し、改葬の手続き自体が滞ることがあります
- 契約前に総額の書面がない状態で作業を依頼する:後日の追加請求トラブルの原因になります
特に注意したいのは、相場から大きく外れた安値です。撤去工事費の相場は1㎡あたり約8万〜15万円とお伝えしましたが、これを大幅に下回る金額を提示する業者の中には、契約後に「現地の状況を確認したところ追加費用が必要」として、結果的に相場並み、あるいはそれ以上の金額を請求するケースがあります。安さだけで業者を選ばず、見積書の内訳と支払い条件(着手金の有無、追加費用が発生する条件)を必ず書面で確認してから契約してください。
もう一つ注意したいのが、値引き交渉に応じてもらう代わりに「口約束」で済ませてしまうケースです。「今回だけ特別に安くします」という口頭でのやり取りだけで進めてしまうと、工事後に「その金額には〇〇の作業は含まれていなかった」といった認識のずれが起きやすくなります。値引き後の金額であっても、必ず作業範囲・金額・支払い条件を明記した見積書または契約書を受け取ってから工事を依頼してください。
見積もりと実際の請求額が大きく異なる、説明のない追加費用を請求されたといったトラブルは、地域の消費生活センター(全国共通ダイヤル188)に相談できます。国民生活センターの相談事例でも、価格やサービス内容についての説明不足がトラブルの一因になっていると指摘されています。契約前の書面確認は、値引き交渉そのものよりも重要な防衛策だといえます。
値引き交渉にかかる時間の目安
値引き交渉を検討する際は、かかる時間も踏まえておくと判断しやすくなります。目安は次の通りです。
| 工程 | 目安の時間 | 補足 |
|---|---|---|
| 現地写真の撮影・墓地情報の整理 | 1日 | 面積・石塔数・通路の幅がわかる写真を用意する |
| 2〜3社への見積もり依頼 | 連絡から1週間程度 | 繁忙期は返信が遅れることがある |
| 見積書の内訳比較 | 数日 | チェックリストを使うと短縮できる |
| 再提示の依頼・交渉 | さらに数日〜1週間 | 複数回のやり取りが必要になることもある |
| 合計 | 2〜3週間程度 | 指定石材店制の場合は交渉自体が不要でより短い |
値引き交渉によって撤去工事費が数万円下がったとしても、2〜3週間の時間と手間がかかる点は考慮しておく必要があります。改葬を急いでいる場合や、遠方に住んでいて現地とのやり取りが難しい場合は、時間をかけて交渉するより、最初から追加費用のない定額プランに依頼したほうが結果的に早く、総額の見通しも立てやすくなります。特に、閉眼供養や墓地の返還期限が決まっている場合は、交渉に時間をかけて時期を逃すと、かえって繁忙期にずれ込み、値引きどころか割高な時期に依頼することになりかねません。スケジュールに余裕があるかどうかも、値引き交渉に踏み切るかの判断材料にしてください。
見積もり時に業者へ聞いておきたい質問リスト
相見積もりの電話・現地確認の際に、次の質問をしておくと、後からのトラブルや追加費用を防ぎやすくなります。
- この見積もりの金額に、現地までの出張費・重機の搬入費は含まれていますか
- 作業当日に追加費用が発生する可能性がある条件は何ですか(悪天候・地中埋設物の発見など)
- 遺骨の取り出しは何体分まで含まれていますか(複数の遺骨がある場合)
- 支払いのタイミングはいつですか(着手金の有無、工事完了後の残額払いか)
- この見積金額の有効期限はいつまでですか
よくある質問
Q. 石材店に「他社はもっと安かった」と伝えても大丈夫ですか?
作業範囲が同じ条件であれば問題ありません。ただし、総額だけを伝えるのではなく、内訳(撤去・処分・整地の範囲)も併せて伝えると、業者側も正確に再検討しやすくなります。
Q. 離檀料は値引き交渉してもよいのでしょうか?
離檀料はお布施という性質上、値引き交渉には向きません。金額に納得できない場合は、値切るのではなく、早めに改葬の意向を相談し、他の檀家の相場や地域の慣例を踏まえて丁寧に話し合うことをおすすめします。
Q. 定額プランと値引き交渉、結局どちらが安いですか?
墓地面積が小さく作業範囲が単純な場合は、値引き交渉で総額を抑えられることもあります。一方、面積が広い、重機が入りにくいなど条件が複雑な場合や、手間や追加費用のリスクを避けたい場合は、追加費用のない定額プランのほうが総額・安心感の両面で有利になりやすいです。
Q. 見積もりは何社に依頼するのが適切ですか?
2〜3社が目安です。多く依頼しすぎると対応が煩雑になり、内訳の比較が難しくなります。条件をそろえて2〜3社に絞って依頼するほうが、精度の高い比較ができます。
Q. 指定石材店制の墓地でも値引き交渉はできますか?
他社との相見積もりによる価格競争は使えませんが、指定石材店に対して「作業範囲を減らせないか」「支払い時期を調整できないか」を相談する余地はあります。ただし、決定権は業者側にあるため、大幅な値引きは期待しにくいのが実情です。指定の有無や交渉可能な範囲は、墓地の管理者や石材店に直接確認してください。
Q. 値引き交渉をした結果、工事の質が落ちることはありますか?
作業範囲を明確にせずに金額だけを交渉すると、廃材処分や整地の丁寧さが省略されるリスクはあります。値引き交渉をする際は、金額だけでなく「作業範囲が変わらないこと」を書面(見積書・契約書)で確認したうえで進めることが、工事の質を落とさないポイントです。
Q. 相見積もりを取ったことを業者に正直に伝えてもよいですか?
問題ありません。むしろ、相見積もりを取っていることを伝えたほうが、業者側も他社との比較を前提に、適正な金額を提示しやすくなります。伝える際は、金額だけでなく比較した作業範囲もあわせて伝えることで、より具体的な再検討をしてもらいやすくなります。
Q. 定額プランに申し込んだ後で、追加費用を求められることはありますか?
安心墓じまいの基本プランは、対象となる面積・石塔数の範囲内であれば追加請求はありません。面積がプランの上限を超える場合など、料金が変わる条件は契約前にご案内します。ご不明な点があれば、お見積りの段階でご確認いただけます。
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まとめ
墓じまいの値引き交渉で下がるのは、実質的に撤去工事費だけです。相見積もりで内訳をそろえて比較すれば数万円単位で下げられる一方、離檀料や行政手数料は交渉になじみません。総額を大きく下げたいなら、値引き交渉より供養先の見直し(合祀・送骨)や、繁忙期を避けた依頼時期のほうが効果的です。手続きの順番(改葬先の決定→離檀料の相談→撤去業者の相見積もり)を守ることも、値引き交渉と同じくらい費用に影響します。
交渉の手間や追加費用のリスクを避けたい場合は、追加費用のない定額プランも選択肢になります。安心墓じまいでは、墓じまい一式198,000円(税込)〜、着手金+工事完了後の残額払いで追加請求はありません。相見積もりに何週間もかけるか、最初から定額で任せるかは、墓地の条件(指定石材店の有無・面積・立地)とご自身の時間的な余裕によって選ぶとよいでしょう。判断に迷う場合は、まず相見積もりを2社ほど取ってみて、作業範囲をそろえたうえで定額プランと比較するのも一つの方法です。まずは無料相談で、あなたの墓地の場合いくらになるかをご確認ください。
参考文献
墓じまいの費用、いくらかかる?
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この記事の監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理

