
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
「墓じまい」という言葉は知っていても、何から始めればいいのか分からない方は多いはずです。結論から言うと、墓じまいとは今あるお墓を解体・撤去して墓地を管理者に返し、遺骨を新しい供養先へ移す一連の手続きのことです。費用は総額20万〜150万円が目安で、安心墓じまいの定額プランなら198,000円〜(税込・1㎡まで)、大きめの区画でも298,000円(2㎡まで)から承っています。この記事では、墓じまいの意味・増えている背景・費用の内訳・7ステップの流れ・放置した場合のリスクまで、初めて墓じまいを検討する方にも分かるように、専門用語をかみ砕きながら解説します。「言葉は聞いたことがあるが、結局何をすればいいのか分からない」という状態から、「次に自分は何をすればいいか」が具体的にイメージできる状態を目指して、順番に読み進めていただけるよう構成しています。
費用相場の内訳・改葬件数の推移(厚生労働省の統計)・7ステップの流れ・必要書類・親族やお寺とのトラブル対策まで、図解でまとめた完全ガイドは「墓じまいとは?費用相場・手続きの流れ・トラブル対策を解説」をご覧ください。
墓じまいとは?「改葬」との違い
墓じまいとは、現在のお墓の墓石を解体・撤去し、墓所を更地に戻して墓地の管理者(自治体・寺院・霊園)に使用権を返還することです。厚生労働省が所管する墓地、埋葬等に関する法律では、お墓を移す行為を「改葬」と呼び、改葬には市区町村長の許可(改葬許可証)が必要と定められています。
つまり「墓じまい」はお墓を片付ける工事・手続き全体を指す一般的な呼び方で、「改葬」はそのうち遺骨を別の場所へ移すことを指す法律上の用語です。実務上は、墓じまい=墓石の撤去工事+改葬許可の手続き+遺骨の新しい供養先探し、の3つがセットになっていると理解しておくと分かりやすくなります。
墓じまいと「墓の引っ越し」は何が違う?
「今のお墓を別の場所の新しいお墓に移す」場合も、法律上は改葬にあたるため同じ手続きが必要です。一方で「お墓自体を持たない」永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨などに移す場合も、墓じまいという言葉が使われます。つまり墓じまいは、移転先が新しいお墓かどうかにかかわらず、今のお墓を閉じる行為全般を指します。
混同されやすい言葉として「墓終い」「廃墓」「墓の解体」などもありますが、いずれも指している内容はほぼ同じです。行政の窓口や法律の条文では「改葬」という言葉が正式に使われるため、自治体に問い合わせる際は「墓じまいをしたい」よりも「改葬をしたい」と伝えた方が話が早く進むことがあります。
墓じまいを検討すべきタイミングの目安
「まだ早いかもしれない」と迷っている方向けに、検討を始める目安を3つ挙げます。
- お墓参りの頻度が年1回以下になり、往復の交通費・時間の負担が大きいと感じ始めたとき
- お墓を継ぐ予定の子や孫が、現在のお墓から離れた場所に生活の拠点を持っているとき
- お墓の管理者(寺院・霊園)から、区画の状態や管理費についての連絡を受けたとき
これらに当てはまる場合、早めに情報収集を始めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
なぜ今、墓じまいをする人が増えているのか
墓じまいが増えている主な理由は、次の3つに整理できます。
- 少子高齢化・核家族化:お墓を継ぐ子や孫が減り、遠方で暮らす家族だけになるケースが増えています。
- 遠方在住で管理が難しい:進学・就職で地元を離れたまま生活の拠点が変わり、実家のお墓まで定期的に通えない家庭が増えています。
- 「子や孫に負担を残したくない」という価値観の変化:お墓の維持・管理を次世代に引き継がせることへの心理的な負担感から、自分の代で整理しておきたいと考える方が増えています。
厚生労働省の「衛生行政報告例」では、都道府県・市区町村ごとの改葬件数が毎年公表されており、近年は増加傾向が続いていると報告されています。正確な最新値は自治体・年度によって変動するため、詳細な数値を確認したい方は政府統計の総合窓口(e-Stat)の衛生行政報告例をご参照ください。
加えて、墓地そのものを取り巻く環境の変化も背景にあります。寺院墓地では後継者不在による無縁墓の増加が課題となっており、多くの寺院・霊園が墓じまいの相談に応じる体制を整えるようになりました。以前は「お墓を手放すのは申し訳ない」という心理的なハードルが高い行為とされていましたが、現在では終活の一環として前向きに捉える方が増え、寺院側も理解を示すケースが一般的になっています。
また、公営霊園でも「無縁改葬」という制度により、管理費が長期未納で承継者と連絡が取れない墓所を自治体側が改葬する仕組みが整備されています。自分たちの意思で計画的に墓じまいをすることは、こうした強制的な無縁改葬を避け、遺骨の行き先を自分たちで選べるという意味でもメリットがあります。
お墓のあるエリアが分かる方は、対応霊園・改葬窓口・定額料金をまとめた〈エリア別の墓じまい・改葬ガイド〉もあわせてご覧ください。
墓じまいの費用総額はいくら?内訳と相場
墓じまいの費用は、撤去工事と行政手続きだけなら20万〜50万円、遺骨の新しい供養先(改葬先)まで含めると総額35万〜150万円が目安です。金額に幅があるのは、墓地の面積・立地、宗派・寺院との関係(離檀料の有無)、選ぶ改葬先の種類によって大きく変わるためです。
費用内訳表(墓石撤去・閉眼供養・離檀料・改葬先)
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・処分・整地 | 10万〜30万円 | 1㎡あたり約10万円〜が目安。面積が広いほど加算 |
| 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 3万〜10万円 | 寺院・宗派により異なる |
| 離檀料 | 3万〜20万円程度 | 寺院墓地の場合のみ。金額は寺院次第で法的な決まりはない |
| 改葬許可申請 | 無料〜数百円 | 自治体により手数料の有無が異なる |
| 改葬先(新しい供養先)の費用 | 3万〜100万円 | 合祀墓・送骨なら数万円、一般墓なら高額になりやすい |
より詳しい内訳の解説は墓じまいの費用相場のページでも取り上げています。なお、墓じまいの費用自体には消費税以外の特別な税金はかかりませんが、新しい供養先を一般墓として新規に建てる場合は、別途永代使用料や墓地の管理料が発生する点に注意しましょう。
費用項目ごとの詳しい解説
墓石の撤去・処分費用は、墓じまい費用の中で最も大きな割合を占めます。目安は1㎡あたり約10万円〜で、面積が広いほど、また重機の搬入が難しい斜面地・階段の多い霊園ほど費用が上がります。石塔の基礎(コンクリートの土台)の深さによっても作業量が変わり、想定より深い基礎が見つかると追加費用が発生する業者もあるため、契約前に「現地調査後の金額が最終確定額か」を確認することが重要です。
閉眼供養(魂抜き)のお布施は、僧侶にお墓から魂を抜く儀式を執り行ってもらう際のお礼です。金額に決まりはなく、寺院や地域の慣習によって3万〜10万円程度が目安とされています。菩提寺がある場合はその住職に、ない場合は霊園が紹介する僧侶や、僧侶手配サービスに依頼する方法もあります。
離檀料は、寺院墓地の檀家をやめる際に発生する費用で、公営霊園・民営霊園(宗教不問)には発生しません。相場は3万〜20万円程度とされていますが、これまでの法要でのお布施の総額や、寺院との関係性によって幅があります。高額な離檀料を提示された場合は、まず弁護士や消費生活センターに相談することも選択肢です。
改葬先(新しい供養先)の費用は、選ぶ供養方法によって最も差が出る項目です。合祀型の永代供養墓であれば3万〜10万円程度からありますが、一般墓を新たに建てる場合は100万円を超えることもあります。費用を抑えたい場合は、後述する改葬先の選択肢を比較して検討することをおすすめします。
安心墓じまいの定額プラン(198,000円〜)
安心墓じまいの基本プランは、1㎡までの区画で198,000円(税込)、2㎡までの区画で298,000円(税込)です。石塔1基の撤去・処分・整地・返還までを一式含み、2㎡を超える場合は1㎡ごとに110,000円を加算する明朗な定額制で、現地調査で確定した金額から追加請求はいたしません。お支払いは着手金と、工事完了後の残額払いの2回に分ける形です。詳しい料金表は料金プランのページをご覧ください。
独自データ:面積別の費用シミュレーション早見表
お墓の面積ごとに、撤去工事費だけを比較した早見表です。印刷してご家族との話し合いにお使いいただけます。
| 墓地の面積 | 安心墓じまいの目安 | 一般的な相場(複数社平均) |
|---|---|---|
| 1㎡まで(小区画) | 198,000円 | 15万〜25万円 |
| 2㎡まで(一般的な広さ) | 298,000円 | 25万〜40万円 |
| 3㎡(2㎡+110,000円) | 408,000円 | 35万〜55万円 |
| 4㎡(2㎡+220,000円) | 518,000円 | 45万〜70万円 |
※一般的な相場は業界の公開情報をもとにした目安です。重機が入れない区画・斜面・二重墓石などの現地条件によって加算される場合があります。
墓じまいの流れ7ステップ
墓じまいは、大きく分けて次の7ステップで進みます。全体で2〜6か月程度かかるのが一般的です。
- 親族に相談し、同意を得る:お墓は家族・親族共有の対象です。後々のトラブルを避けるため、着手前に必ず話し合いましょう。
- 遺骨の新しい供養先(改葬先)を決めて契約する:永代供養墓・樹木葬・納骨堂・海洋散骨・手元供養など、希望に合う方法を選びます。改葬先が決まると「受入証明書」が発行され、次のステップに必要になります。
- 現在の墓地管理者に連絡し、埋葬証明をもらう:寺院・霊園・自治体に墓じまいの意向を伝え、埋葬(埋蔵)証明書を発行してもらいます。寺院墓地の場合は、この段階で離檀の話し合いも行います。
- 自治体窓口に改葬許可申請書を提出し、許可証を受け取る:現在の墓地がある市区町村の窓口(戸籍・住民課や環境衛生課など、自治体により担当課は異なります)に、埋葬証明書・受入証明書とあわせて申請します。書類作成が難しい場合は、提携行政書士のご紹介が可能です(ご契約・報酬のお支払いは行政書士と直接となり、目安は33,000円〜です)。
- 閉眼供養(魂抜き)を行う:僧侶に読経してもらい、お墓から魂を抜く儀式です。宗派によって呼び方や有無が異なります。
- 墓石を撤去し、整地して管理者に返還する:石材店・解体業者が墓石を解体・撤去し、区画を更地に戻して管理者に返します。
- 改葬先に改葬許可証を提出し、納骨する:新しい供養先に許可証を提出し、遺骨を納めて完了です。
ステップ別の所要期間の目安
| ステップ | 所要期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 1〜2:親族相談・改葬先決定 | 2週間〜2か月 | 親族間の合意形成に最も時間がかかりやすい |
| 3〜4:埋葬証明取得・改葬許可申請 | 2〜4週間 | 自治体の窓口対応日数に左右される |
| 5〜6:閉眼供養・撤去工事 | 2〜4週間 | 石材店の繁忙期(春・秋のお彼岸前後)は延びやすい |
| 7:納骨 | 当日〜数日 | 改葬先の受け入れ準備が整い次第、実施可能 |
全体としては、話し合いが早くまとまれば最短1か月半程度、親族間の調整に時間がかかる場合は半年以上かかることもあります。繁忙期を避けて動き出すと、希望のスケジュールで進めやすくなります。年末年始やお盆前は、閉眼供養・納骨をこの時期に合わせたいという依頼が集中しやすいため、余裕を持って1〜2か月前から動き出すのがおすすめです。
独自比較:自分で進める場合と業者に依頼する場合
| 比較項目 | 自分で手続き | 業者(代行サービス)に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 撤去費用のみ(相見積もりで抑えやすい) | 撤去費用+手続きサポート料(総額は上がるが手間は減る) |
| 手間 | 役所・寺院・石材店とのやり取りをすべて自分で行う | 窓口とのやり取りを一本化できる |
| 平日の役所対応 | 自分で平日に窓口へ行く必要がある場合が多い | 郵送・代理対応に慣れた業者なら平日対応が不要なことも |
| 行政書士への依頼 | 必要に応じて自分で行政書士を探す | 提携行政書士をご紹介してもらえる(契約・報酬は行政書士と直接) |
| 向いている人 | 近隣在住で平日に動ける、費用を抑えたい方 | 遠方在住・平日に時間が取れない・初めてで不安な方 |
自分でやるか、任せるか迷ったら。
安心墓じまいは定額制・追加請求なし・着手金+完成後の残額払い。遺骨の取り出しから撤去、供養先のご案内までお任せいただけます。
独自チェックリスト:墓じまい前に確認すべき10項目
印刷してご家族との話し合いや業者選びにお使いください。
| No. | 確認項目 | チェック |
|---|---|---|
| 1 | お墓の承継者・費用負担者を決めたか | □ |
| 2 | 親族全員に事前連絡・同意を得たか | □ |
| 3 | 新しい供養先(改葬先)の候補を決めたか | □ |
| 4 | 現在の墓地の管理者(寺院・霊園・自治体)を把握しているか | □ |
| 5 | 寺院墓地の場合、離檀料の相場・伝え方を確認したか | □ |
| 6 | 改葬許可申請書の提出先自治体を確認したか | □ |
| 7 | 墓地の正確な面積・石塔の数を把握しているか | □ |
| 8 | 撤去業者を複数社(相見積もり)比較したか | □ |
| 9 | 総額の見積もりに追加費用の有無を確認したか | □ |
| 10 | 閉眼供養の日程・お布施の目安を確認したか | □ |
独自シミュレーション:ケース別に見る墓じまいの進め方
ケース1:一人っ子で遠方在住、実家のお墓を任された場合
親族間の話し合いは自分一人で完結しやすい反面、現地に頻繁に行けないことが課題になります。現地調査・書類提出・立ち会いを写真報告やオンラインで代行してもらえる業者を選ぶと、帰省回数を最小限に抑えられます。改葬先は、管理の手間がかからない合祀墓や送骨サービスを選ぶ方が多い傾向にあります。想定スケジュールとしては、お盆や年末年始の帰省時に現地調査・埋葬証明の取得をまとめて行い、申請書類の提出は郵送で対応してもらう、という進め方が現実的です。
ケース2:兄弟姉妹が複数いて、費用分担で意見が分かれる場合
法律上、墓じまいの費用を誰が払うかという明確な決まりはなく、慣習的にお墓の承継者(祭祀承継者)が負担することが多いですが、実際には兄弟間での分担も一般的です。着手前に見積書を全員で共有し、総額と内訳を可視化してから話し合うとまとまりやすくなります。「誰がいくら払うか」だけでなく「誰が窓口対応・立ち会いをするか」という役割分担まで決めておくと、進行中の連絡の行き違いを防げます。
ケース3:寺院墓地で、離檀の切り出し方に悩んでいる場合
いきなり「墓じまいします」と伝えるのではなく、まずは「後継者がおらず将来的に管理が難しくなりそうで、ご相談したい」という形で住職に相談するとトラブルになりにくい傾向があります。離檀料の金額に法的な基準はないため、相場(3万〜20万円程度)を踏まえつつ、これまでのお付き合いへの感謝を伝える姿勢が大切です。万が一、相場を大きく超える金額を提示された場合は、その場で即答せず、一度持ち帰って弁護士や消費生活センターなどの第三者に相談することも検討しましょう。
ケース4:お墓の場所や名義人が分からず、何から手を付けていいか不明な場合
先祖代々受け継がれてきたお墓では、名義や正確な所在地が分からないまま相談に来る方も少なくありません。この場合、まずは固定資産税の納税通知書や過去の法要の記録、親族への聞き取りから墓地の管理者を特定することから始めます。管理者が分かれば、墓地台帳などから名義人・埋葬者の記録を確認できることが多いため、焦らず一つずつ手がかりをたどっていきましょう。
墓じまいをしないとどうなる?放置した場合のリスク
「まだ急がなくていい」と先延ばしにした場合、次のようなリスクが生じます。
- 管理費の滞納で無縁墓扱いになる可能性:管理費を一定期間(多くの霊園規則では数年程度)滞納すると、管理者側の手続きにより無縁墓として整理されることがあります。この場合、遺骨の引き取りが難しくなるおそれがあります。
- 次世代への負担の先送り:自分の代で整理しなければ、お墓を継ぐ人(祭祀承継者)である子や孫が、より多くの手間・費用を負担することになります。特に遠方に住む子世代にとっては、慣れない土地での窓口対応や現地でのやり取りだけでも大きな負担です。承継者自身がお墓の存在や管理の詳細を把握していないまま相続することも珍しくなく、結果的に管理費の未払いに気づかず無縁墓化が進んでしまうケースもあります。
- お墓の荒廃・親族間トラブルの火種:管理が行き届かないお墓は雑草や倒壊のリスクが高まり、他のお墓を持つ親族との関係悪化につながることもあります。
- 寺院との関係悪化:管理費未納が続くと、寺院・霊園との信頼関係が損なわれ、いざ墓じまいをしようとした際に手続きがスムーズに進まないケースもあります。
放置によるリスクを避けるためにも、承継者や費用負担について早めに家族で話し合っておくことが大切です。特に、遠方に住む家族がいる場合は、お盆やお正月などの帰省時にまとまった話し合いの時間を作っておくと、実際の手続きへスムーズに移行しやすくなります。
一方で、「まだ両親が健在で、勝手に話を進められない」というケースも少なくありません。その場合は、今すぐ墓じまいを実行するのではなく、まずは費用の目安や流れを調べておく「情報収集」の段階から始めるだけでも十分です。実際に動き出すタイミングは、家族全員が納得できるときで問題ありません。
改葬先(新しい供養先)の選択肢
墓じまい後の遺骨の行き先は、主に次の5つから選ぶことになります。ライフスタイルや費用感に合わせて検討しましょう。
| 供養方法 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合祀型の永代供養墓 | 3万〜10万円 | 最も安価。他の方の遺骨と一緒に埋葬され、以降の管理は不要 |
| 樹木葬 | 20万〜80万円 | 樹木や草花を墓標にする。継承者不要のプランが多い |
| 納骨堂 | 20万〜100万円 | 屋内施設のため天候に左右されず、アクセスの良い立地が多い |
| 海洋散骨 | 5万〜30万円 | お墓自体を持たない選択肢。粉骨・乗船委託などプランで幅がある |
| 手元供養 | 数千円〜10万円程度 | 自宅で遺骨の一部を保管。ミニ骨壺やアクセサリーに加工する方法も |
複数の供養方法を組み合わせる(一部は手元供養、残りは合祀墓へ、など)ことも可能です。例えば「遺骨の一部だけ手元に残し、残りは合祀墓へ納める」という分骨の形を選ぶ方も増えています。分骨をする場合は、分骨証明書の発行が必要になることがあるため、事前に墓地管理者へ相談しておきましょう。選び方の詳細は改葬先の選び方をご覧ください。
改葬許可申請に必要な書類
自治体の窓口で改葬許可申請をする際は、一般的に次の書類が必要です。自治体によって様式・呼び方が異なるため、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
- 改葬許可申請書(遺骨1体につき1通が必要な自治体が多い)
- 現在の墓地管理者による埋葬(埋蔵)証明書
- 改葬先が決まっていることを証明する受入証明書
- 申請者の本人確認書類(運転免許証など)
- 申請者と遺骨(故人)との続柄が分かる戸籍謄本等(自治体・状況により求められる場合がある)
特に古いお墓では、埋葬されている方の氏名や没年月日が正確に分からないケースもあります。その場合は、墓誌や過去帳、寺院の記録などをもとに埋葬証明書を作成してもらうことになります。複数のご遺骨が埋葬されている場合は、原則として1体ごとに申請書が必要になる自治体が多いため、まず現在のお墓に何体分の遺骨が納められているかを、墓地管理者や過去の法要記録から確認しておくと手続きがスムーズです。書類集めや申請書の記入に不安がある場合は、提携行政書士のご紹介も可能です(ご契約・報酬のお支払いは行政書士と直接、目安は33,000円〜)。
費用を抑える3つのコツ
- 相見積もり:撤去費は業者間の差が大きく、2〜3社を比較するだけで数万円変わることもあります。見積書を取る際は、面積単価だけでなく「追加費用が発生する条件」まで書面で確認しましょう。
- 改葬先の選び方:合祀墓や送骨サービスを選べば、新しい供養先の費用を3万〜10万円程度に抑えられます。一般墓にこだわらなければ、選択肢は大きく広がります。
- 補助金・助成金の活用:自治体によっては墓じまいの補助金制度を設けている場合があります。件数は限られますが、条件が合えば数万円の負担軽減につながります。お住まいの自治体の制度は墓じまいの補助金のページで確認できます。
墓じまい業者を選ぶときの3つのポイント
撤去工事を依頼する業者選びは、費用だけでなく信頼性も重視することが大切です。主な確認ポイントは次の3つです。
- 見積もりが定額・明朗かどうか:「現地調査後に追加請求が発生しないか」を契約前に必ず確認しましょう。面積あたりの単価だけを提示し、基礎の深さや立地条件による加算を後出しする業者もあるため注意が必要です。
- 対応範囲がどこまでか:撤去工事だけでなく、行政書士の紹介、供養先探し、閉眼供養の手配まで一括で相談できるかを確認すると、複数の業者・専門家を自分で探す手間が省けます。
- 実績・対応エリア:希望するエリアでの施工実績や、遠方在住でも対応できる体制(郵送・オンライン相談・写真報告など)が整っているかを確認しましょう。
業者選びの詳しいチェックポイントは墓じまい業者の選び方でも解説しています。
遺骨の行き先がまだ決まらないときは「一時預かり」も選択肢
「墓じまいはしたいが、新しい供養先をすぐには決められない」という場合、一部の霊園・納骨堂・業者では遺骨を一時的に預かるサービスを提供しています。これにより、改葬許可申請の期限に急かされることなく、じっくり改葬先を検討できます。ただし預かり期間には上限や費用が発生することが一般的なため、利用を検討する場合は事前に条件を確認しておきましょう。なお、改葬許可証自体には有効期限が明確に定められていない自治体が多いですが、長期間放置すると紛失や記載事項の確認不備につながるため、取得後はできるだけ早めに次のステップへ進むことをおすすめします。
墓じまいをきっかけに、実家の片付けや空き家の処分を考え始める方も増えています。全体の流れは実家じまいとは?費用・手順・タイミング(姉妹サイト「安心実家じまい」)をご覧ください。
よくある質問
Q. 墓じまいは自分で手続きできますか?
可能です。改葬許可申請書の提出や埋葬証明の取得は、ご自身で行うこともできます。ただし、平日に役所へ行く時間が取れない方や、書類の書き方に不安がある方には、提携行政書士のご紹介も可能です(ご契約・報酬のお支払いは行政書士と直接となり、目安は33,000円〜です)。
Q. 改葬許可の申請を代わりにやってもらえますか?
行政書士の資格を持たない業者が申請書の作成・提出を代行することは、行政書士法により認められていません。安心墓じまいでは、書類作成に不安がある方向けに提携行政書士をご紹介しています。ご契約・報酬のお支払いは、ご紹介した行政書士とお客様との間で直接行っていただきます。
Q. 墓じまい後の遺骨はどうすればいいですか?
永代供養墓・樹木葬・納骨堂・海洋散骨・手元供養など、複数の選択肢があります。管理の手間や費用を抑えたい方には合祀型の永代供養墓、手元に残しておきたい方には手元供養が選ばれる傾向にあります。詳しくは墓じまい後の遺骨の行き先で解説しています。
Q. 墓じまいの費用が払えない場合はどうすればいいですか?
親族での分担、費用の安い改葬方法(合祀墓・送骨)への変更、自治体の補助金制度の活用などで負担を抑える方法があります。詳しくは墓じまいのお金がないときの対処法をご覧ください。
Q. 遠方に住んでいても墓じまいはできますか?
可能です。改葬許可申請は郵送で対応してくれる自治体が多く、現地の立ち会いも写真報告で完結する業者もあります。安心墓じまいは全国対応で、現地調査から撤去・供養先のご案内まで一括してサポートします。
Q. 墓じまいにかかる期間はどれくらいですか?
親族間の話し合いから納骨まで、平均して2〜6か月程度が目安です。改葬先の決定と親族間の合意形成に時間がかかるケースが多く、逆に方針が早く決まっていれば1か月半程度で完了することもあります。
Q. 墓石はどこかに再利用できますか?
多くの場合、撤去した墓石は産業廃棄物として処分されますが、一部を粉砕して手元供養用のペンダントやオブジェに加工したり、墓誌の一部だけを残したりするサービスを提供する業者もあります。ご希望がある場合は、見積もり時に相談しておくとよいでしょう。
関連記事
墓じまいと合わせて検討したいこと
墓じまいをきっかけに、実家の片付け全体を見直す方も少なくありません。特に次の2つは、墓じまいと同時期に相談されることが多い内容です。
- 仏壇じまい:お墓と同様に、仏壇にも魂入れ・魂抜きの儀式があり、処分の際には閉眼供養を行うのが一般的です。実家を片付けるタイミングで一緒に相談する方が多くいます。
- 遺品整理:お墓と実家の片付けは、多くの場合セットで発生します。遠方に住んでいる場合は特に、一度の帰省でまとめて相談・見積もりを取っておくと効率的です。
安心墓じまいでは、こうした関連のご相談も含めて承っています。何から始めればよいか分からない場合も、まずは現在の状況をお聞かせください。お墓の写真や大まかな場所だけでも、概算のイメージをお伝えすることが可能です。
まとめ
墓じまいとは、今あるお墓を撤去して墓地を返還し、遺骨を新しい供養先に移す一連の手続きです。費用総額は20万〜150万円が目安で、流れは「親族相談→改葬先決定→埋葬証明取得→改葬許可申請→閉眼供養→撤去・返還→納骨」の7ステップで進みます。少子高齢化や遠方居住を背景に検討する方が増えていますが、放置すると無縁墓化や次世代への負担につながるため、早めの情報収集と家族での話し合いが大切です。一つひとつのステップは決して複雑なものではないため、全体像さえつかんでおけば、落ち着いて進めることができます。
安心墓じまいでは、1㎡まで198,000円・2㎡まで298,000円(税込)の定額プランで、遺骨の取り出しから撤去、供養先のご案内までワンストップでサポートしています。現地調査後の追加請求はありません。お支払いは着手金と工事完了後の残額払いの2回のみで、契約内容以上の請求をすることはございません。
「まずは概算だけ知りたい」「複数の見積もりと比較してから決めたい」という段階でも構いません。まずは無料の費用シミュレーターやLINE相談で、お墓の広さや場所など分かる範囲の情報をお気軽にお聞かせください。
参考文献
墓じまいの費用、いくらかかる?
お墓の場所とお写真がわかれば、その場で概算をお伝えします。
ご相談・お見積りは無料です。
無理な勧誘は一切ありません。安心してご利用ください。
この記事の監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理

