古いお墓を墓じまいしようとしたら「先祖は土葬だった」——昭和中期以前のお墓では珍しくないケースです。土葬されたご遺体・ご遺骨の改葬は、火葬骨の改葬と基本の手続きは同じですが、掘削(掘り起こし)・洗骨・火葬のし直しという土葬特有の工程が加わり、費用も期間も多めにかかります。この記事では、土葬の改葬に必要な許可手続き、掘削から再火葬までの実務の流れ、費用の目安、遺骨が見つからない場合の対応まで、順を追って解説します。
土葬の改葬は可能?基礎知識と火葬骨との違い
まず、土葬のお墓でも改葬できるのか、通常の墓じまいと何が違うのかを整理します。
土葬の遺骨も掘り起こして改葬できる
結論として、土葬されたご遺体・ご遺骨も、改葬許可を取れば掘り起こして別の場所へ移せます。日本では現在ほぼすべてが火葬ですが、昭和中期頃までは地域によって土葬が広く行われており、農村部の古い墓地や共同墓地には今も土葬のお墓が残っています。「土葬だから動かせない」ということはなく、毎年一定数の土葬改葬が全国で行われています。ただし、火葬骨をカロート(納骨室)から取り出すだけの通常の墓じまいと違い、土中からご遺骨を掘り出す作業が必要になる点が大きな違いです。
火葬骨の改葬との違いは「掘削・洗骨・再火葬」
土葬の改葬で加わる工程は主に3つです。第一に掘削(掘り起こし)。埋葬場所を特定し、重機や手掘りで土中のご遺骨を探し出します。第二に洗骨。土中のご遺骨には土・湿気・細菌が付着しているため、洗浄・乾燥させます。第三に火葬のし直しです。ほとんどの納骨堂・永代供養墓・一般墓地は焼骨での受け入れを前提としており、土葬骨のままでは納骨できないため、火葬場で改めて火葬します。この3工程の分だけ、費用と期間が火葬骨の改葬より多くかかります。
受け入れ先の条件を最初に確認する
改葬先(新しい供養先)が土葬骨をどう扱うかは施設によって異なります。「火葬済みの焼骨のみ受け入れ」が大多数のため、事前に「土葬の遺骨を改葬したい。再火葬すれば受け入れ可能か」を確認してから計画を立てましょう。散骨を希望する場合も、粉骨業者は焼骨を前提としているため再火葬が必要です。供養先ごとの特徴は改葬・供養先の選び方で解説しています。
土葬の改葬手続き【許可から納骨までの流れ】
土葬の改葬は、行政手続きと現場作業が並行して進みます。全体の流れは次のとおりです。
- 親族・墓地管理者と相談し、改葬の方針と改葬先を決める
- 改葬先と契約し、受入証明書を入手する
- お墓のある市区町村に改葬許可を申請する(埋葬証明書を添付)
- 火葬のし直しについて自治体・火葬場に確認し、必要な手続きを行う
- 閉眼供養のうえ掘削し、ご遺骨を取り出して洗骨・乾燥する
- 火葬場で再火葬し、骨壺に納める
- 改葬許可証を提出して新しい供養先へ納骨する
改葬許可申請のポイント:土葬は「埋葬証明」
改葬許可の手続き自体は火葬骨と同じで、お墓のある市区町村に改葬許可申請書を提出します。土葬の場合、墓地管理者が発行する証明は正式には「埋葬証明書」と呼ばれます(火葬骨は「埋蔵証明書」)。古い土葬墓では、埋葬の記録が残っていない・管理者が不明といった事情も多く、その場合は戸籍(除籍謄本)や過去帳、墓誌などで埋葬の事実を疎明し、自治体に相談しながら進めます。証明が得られないケースの対処は埋葬証明書がもらえないときの対処法で詳しく解説しています。
再火葬の手続きは自治体・火葬場により異なる
掘り起こした土葬骨の火葬については、改葬許可証の提示で受け付ける火葬場もあれば、別途、市区町村への火葬許可の手続きを求める場合もあります。運用が自治体・火葬場ごとに異なるため、改葬許可の申請時に「土葬の遺骨を掘り起こして再火葬したい」と伝え、必要な手続きと予約方法を確認しておきましょう。再火葬の料金は公営火葬場で数千円〜数万円程度が目安で、改葬骨(洗骨後の遺骨)の料金区分を設けている火葬場もあります。
掘削・洗骨は経験のある業者に依頼する
掘削は、墓石の解体を行う石材店・墓じまい業者が対応するのが一般的です。埋葬位置の特定、丁寧な手掘りへの切り替え、ご遺骨の見落とし防止など、土葬改葬には経験がものをいいます。洗骨は石材店が対応できる場合と、専門の洗骨業者に依頼する場合があります。依頼前に「土葬の掘削経験があるか」「洗骨まで対応できるか」を確認しましょう。業者選びの基準は墓じまい業者の選び方も参考にしてください。
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土葬の改葬にかかる費用の目安
土葬の改葬費用は「通常の墓じまい費用+土葬特有の3工程」で考えます。
費用の内訳と相場
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・処分費 | 区画の広さによる | 当社基本プランは298,000円(税込・2㎡まで・石塔1基) |
| 掘削(掘り起こし)費 | 1柱あたり3万〜10万円程度 | 深さ・土質・重機の可否で変動 |
| 洗骨・乾燥費 | 1柱あたり2万〜5万円程度 | 専門業者に依頼する場合 |
| 再火葬の費用 | 数千円〜5万円程度 | 公営火葬場は安価。自治体により異なる |
| 閉眼供養のお布施 | 3万〜10万円程度 | 掘削前に行うのが一般的 |
| 骨壺・骨箱代 | 数千円〜2万円程度 | 再火葬後の納骨用 |
| 改葬先の費用 | 数万円〜 | 合祀型永代供養墓なら費用を抑えやすい |
柱数と埋葬状況で総額が大きく変わる
土葬の古いお墓は、先祖代々で複数のご遺体が埋葬されていることが多く、柱数分の掘削・洗骨・再火葬費用がかかります。また「どこに誰が埋葬されているか正確にわからない」場合は、区画全体を掘削して確認する必要があり、費用が膨らみがちです。見積りの際は、埋葬されている可能性のある人数・埋葬時期をできるだけ調べて伝え、「遺骨が想定より多かった場合の追加費用」の扱いを事前に確認しておきましょう。費用全体の考え方は費用ページで解説しています。
手続き費用と専門家への依頼
改葬許可申請をご自身で行う場合の実費は、証明書の発行手数料など数百円〜数千円程度です。埋葬記録がない古い土葬墓では書類の疎明資料づくりが難しいことがあり、その場合は行政書士に書類作成を依頼する方法があります。安心墓じまいでは提携行政書士をご紹介しており、お客様と直接ご契約いただけます(報酬目安33,000円〜)。
掘削当日の実際と、遺骨が見つからない場合の対応
土葬改葬で最も不安が大きい「掘ってみたらどうなるか」について、実務を説明します。
掘削当日の流れと立ち会い
掘削当日は、閉眼供養を済ませたうえで作業に入ります。墓石と外柵を解体・移動し、埋葬位置の見当をつけて重機で表土を除き、ご遺骨に近づいたら手掘りに切り替えて丁寧に探します。ご遺骨は頭骨など形の残りやすい部位から順に確認し、見つかった骨をすべて収容します。作業は1柱あたり半日〜1日が目安です。ご家族の立ち会いは必須ではありませんが、掘削開始時と収骨時には立ち会うか、写真での報告を受けられるようにしておくと安心です。
土に還っていて遺骨が見つからないことも多い
土葬から数十年が経過している場合、土質によってはご遺骨がほぼ完全に土に還っていて、骨がまったく見つからないことも珍しくありません。その場合は、埋葬されていた場所の土を一部すくい取り、ご遺骨の代わりとして骨壺に納めて改葬するのが一般的な慣例です。遺骨が確認できなかった場合の改葬許可証の扱い(そのまま使えるか、自治体への報告が必要か)は自治体により運用が異なるため、掘削後に申請先へ確認しましょう。「見つからなかった」こと自体は珍しいことではなく、土に還ったことを自然な供養の完成と受け止める考え方もあります。
衛生面・安全面の注意
土葬骨の取り扱いでは、作業者は手袋・マスクを着用し、ご遺骨は洗浄・乾燥・(必要に応じて)消毒をしてから火葬場へ運びます。感染症等のおそれがある特殊な事例では自治体の指示に従います。また、掘削は深さ1〜2mに及ぶことがあり、素人が自分で掘るのは崩落等の危険があるため絶対に避け、必ず業者に依頼してください。
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土葬されたご遺骨も、改葬許可を取得し、掘削・洗骨・火葬のし直しという工程を踏めば、永代供養墓など新しい供養先へ移せます。費用は通常の墓じまいに1柱あたり数万〜十数万円程度が上乗せされ、埋葬記録のない古いお墓では自治体との調整も必要になるため、土葬改葬の経験がある業者と早めに計画を立てることが成功の鍵です。安心墓じまいでは、土葬のお墓を含む墓じまいのご相談・お見積もりを承っています。まずは墓じまいの流れで全体像を確認し、費用ページとあわせてご検討ください。
参考文献
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」
- お墓さがし「土葬の遺骨を改葬して墓じまいするには?」
- メモリアルアートの大野屋「ご遺骨掘り出し費用|仏事Q&A」
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