墓じまいで撤去された墓石は、許可を受けた処理業者のもとで破砕され、再生砕石などの土木資材に生まれ変わるのが正規のルートです。一方で、「先祖のお墓が山に捨てられていた」という不法投棄の報道も実際にあり、不安を感じる方は少なくありません。この記事では、撤去後の墓石が具体的にどこへ運ばれ何になるのか、廃棄物処理法上の扱い、行方を確認できるマニフェスト(産業廃棄物管理票)の仕組み、実際の不法投棄事例と業者の見分け方まで解説します。
撤去された墓石はどこへ行く?行方は主に3つ
撤去後の墓石の行き先は、大きく「リサイクル」「再加工」「供養を伴う処分」の3つに分けられます。まず全体像を押さえましょう。
| 行き先 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 破砕してリサイクル | 中間処理場で砕き、再生砕石・路盤材などの土木資材へ | 最も一般的な正規ルート |
| 再加工して手元に残す | 数珠・プレート・ミニ墓石などへ加工 | 対応可否は業者による |
| 供養を伴う処分 | 供養塔での合祀供養などを経て処分 | 最終的には破砕処分となることが多い |
産業廃棄物として破砕され再生砕石・路盤材にリサイクル
最も一般的なのは、施工業者(石材店)から産業廃棄物の収集運搬業者を経て中間処理場へ運ばれ、破砕機で細かく砕かれるルートです。砕かれた石は「再生砕石」として道路の路盤材(舗装の下に敷く土台材)や建物の基礎材、埋め立て資材などに再利用されます。墓石と一緒に撤去される外柵や基礎のコンクリートも同じように処理されます。「捨てられる」というより「資源として生まれ変わる」のが実態で、彫刻された文字面も破砕の過程で原形をとどめなくなります。
数珠やミニ墓石などへ再加工されるケース
先祖代々のお墓の石を手元に残したい方向けに、竿石(家名が彫られた縦長の石)の一部を数珠や小さな記念プレート、ミニ墓石、慰霊碑などに加工するサービスもあります。撤去前に申し出れば、業者が該当部分を破砕に回さず取り分けてくれます。ただし加工に対応できる業者は限られ、別途費用もかかるため、希望する場合は契約前に対応可否と料金を確認しておきましょう。
供養塔への合祀・お焚き上げなど供養を伴う処分
石材店や寺院が持つ供養塔にいったん墓石を納め、供養したうえで処分する形をとるサービスもあります。「ただ砕くのは忍びない」という心情に応えるものですが、供養の後は最終的に破砕処分されることが大半です。なお、撤去前に閉眼供養(魂抜き)を済ませていれば、墓石は宗教的には役目を終えた石材として扱われるため、破砕処分そのものが供養の面で問題になるわけではありません。「特別な供養処分」を名目にした高額な追加請求には注意しましょう。
墓石の処分は廃棄物処理法の対象【産業廃棄物としての扱い】
墓石の処分は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づく産業廃棄物処理であり、誰がどう処理すべきかが法律で決まっています。
撤去された墓石は「がれき類」等の産業廃棄物にあたる
廃棄物処理法施行令は、「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」を産業廃棄物と定めています(施行令第2条第9号・いわゆる「がれき類」)。墓石の解体・撤去は業者が行う工作物の除去工事にあたるため、そこで生じた石材や基礎コンクリートは産業廃棄物として、許可を受けた業者による収集運搬・処分が必要です。家庭ごみとして自治体の収集に出すことはできず、施主が自分で砕いて捨てることも現実的ではありません。
排出事業者は施主ではなく施工業者(石材店)
廃棄物処理法第12条の3は、「その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者」=排出事業者に、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付を義務付けています。墓石を廃棄物にするのは撤去工事という施工業者の事業活動なので、排出事業者は施主ではなく施工業者(石材店・解体業者)です。マニフェストの交付義務も施工業者にあります。施主は排出事業者ではありませんが、大切なお墓の行方に関わる依頼主として、適正処理を確認する立場にあると考えておきましょう。
無許可業者への委託・不法投棄には重い罰則がある
廃棄物処理法の主な罰則は次のとおりです。
- 不法投棄(第16条違反):5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科(未遂も処罰対象)
- 法人の従業者が不法投棄をした場合:行為者への罰則に加え、法人に3億円以下の罰金
- 無許可で収集運搬・処分業を営んだ場合や、許可のない業者への委託:5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金
処理費を浮かせるための投棄は、割に合わない重大犯罪として位置づけられています。
自分でやるか、任せるか迷ったら。
安心墓じまいは定額制・追加請求なし・着手金+完成後の残額払い。遺骨の取り出しから撤去、供養先のご案内までお任せいただけます。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)で適正処理を確認する方法
マニフェストは、廃棄物が最終処分されるまでの流れを追跡する法定の伝票です。施主が「墓石がどこへ行ったか」を確認できる公式な手段になります。
マニフェスト制度の仕組み(交付から最終処分までの追跡)
マニフェスト制度の流れは次のとおりです。
- 排出事業者(施工業者)が、収集運搬業者に廃棄物を引き渡すと同時にマニフェストを交付する
- 運搬が終わると、運搬業者から排出事業者へ写しが返送される
- 中間処理(破砕)が終わると、処分業者から写しが返送される
- 最終処分まで完了すると、その旨を記載した写しが返送される
排出事業者は、交付から90日以内(最終処分の完了分は180日以内)に写しが戻らない場合、状況を確認して都道府県へ報告する義務があります。この仕組みにより、廃棄物の「置き去り」や不法投棄を防ぐのが制度の目的です。
マニフェストを交付するのは施工業者。施主は写しの提示を求める
マニフェストを交付するのは排出事業者である施工業者なので、施主が自分で手続きすることはありません。施主にできるのは、契約前に「工事完了後、マニフェストの写しを見せてもらえますか」と確認しておくことです。適正処理している業者なら快く応じます。逆に、提示を渋る・「うちは必要ない」と言葉を濁す業者は、処分ルートを説明できない可能性があり注意が必要です。この確認は業者の選び方でも重要なチェック項目として挙げています。
電子マニフェストの場合の確認方法
現在は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営する「JWNET」による電子マニフェストも広く使われています。電子の場合、紙の伝票は存在しませんが、受渡確認票や登録内容を印刷したもので処理の流れを確認できます。「電子マニフェストなので写しはありません」と言われた場合も、登録内容の控えの提示を依頼すれば足ります。紙か電子かは問題ではなく、処理の記録を示せるかどうかが業者を見極めるポイントです。
実際に起きた墓石の不法投棄事例と施主が知るべきリスク
墓石の不法投棄は、残念ながら実際に摘発事例があります。事例と背景、施主側のリスクを冷静に整理します。
山林や採石場跡への投棄で業者が逮捕された事例
2026年5月には、福島県喜多方市で、客から引き取った不要な墓石約454キログラムを自社の採石場跡地に埋めて捨てたとして、石材業経営者が廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたと報じられました。報道によると、投棄は2022年5月〜9月の疑いで、現場付近には多数の墓石が雨ざらしで放置されており、投棄が常態化していた可能性も調べられているとされています。また兵庫県南あわじ市では、山林に大量の墓石が投棄され「墓石の墓場」とも呼ばれる状態が報じられ、2008年に発覚した違法な処分では業者が有罪判決を受けています。
「格安処分」をうたう業者に注意が必要な理由
墓じまいの件数が増えるなか、相場を大きく下回る「格安処分」を掲げる業者も見られます。適正な処理には破砕・運搬・処分場への支払いといった実費がかかるため、極端な安さは処理費をどこかで削っている可能性があります。その削り先が不法投棄だった、というのが摘発事例に共通する構図です。安さだけで選ばず、次のような観点を持ちましょう。
- 見積りに「墓石処分費」が項目として明記されているか
- 処分の流れ(どこで破砕するか)を説明できるか
- 相場から極端にかけ離れた金額を提示していないか
施主に法的責任は及ぶ?道義的リスクとあわせて整理
排出事業者責任は施工業者にあるため、通常の請負契約で工事を依頼した施主が、業者の不法投棄によって処罰されることは基本的にありません。ただし、法的責任とは別のリスクがあります。投棄された墓石には家名や戒名が刻まれたまま残ることが多く、報道や発見をきっかけに「うちのお墓では」と心を痛めることになりかねません。彫刻から依頼元がたどられ、事情を聞かれる可能性もあります。先祖のお墓の最後を託す以上、行方まで確認できる業者を選ぶことが、施主自身の安心につながります。
適正処理してくれる業者の見分け方と処分費用の目安
最後に、契約前に確認すべきポイントと費用の目安を実践的に整理します。
契約前のチェックリスト(許可・マニフェスト・見積内訳)
契約前に次の項目を確認しましょう。
- 撤去した墓石の処分先(中間処理場)を説明できるか
- マニフェストの写し(または電子マニフェストの控え)の提示に応じるか
- 見積書に「墓石処分費」「基礎撤去・処分費」が明記されているか
- 産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を受けた業者に委託しているか
- 極端な格安をうたっていないか
- 工事前後の写真報告があるか
1つでも曖昧な回答をする業者は、他の項目にも不安が残ります。見積り全体の見方は業者の選び方で詳しく解説しています。
墓石処分を含む撤去費用の相場と内訳
墓石の処分費は単独ではなく、撤去工事費一式(遺骨の取り出し・解体・重機や人件費・運搬・処分・整地)に含まれる形で見積もられるのが一般的です。区画の広さや石の量、重機が入れるかどうかで金額は変わります。当社の基本プランは298,000円(税込・2㎡まで・石塔1基、以降1㎡ごとに110,000円加算)で、墓石の処分までこの中に含まれます。費用の内訳や考え方は費用ページで確認できます。
処分の前に閉眼供養を済ませておく
墓石の撤去・処分の前には、閉眼供養(魂抜き)を行うのが慣例です。多くの石材店は、閉眼供養を済ませていないお墓の解体工事を受けていません。宗教的な区切りをつけてから「石材」として処分ルートに乗せることで、施主・親族の心情面でも納得しやすくなります。閉眼供養の依頼先や当日の流れは閉眼供養とはをご覧ください。
お墓の広さや場所から、費用の目安がわかります。
かんたんな質問に答えるだけで、墓じまいの費用イメージがすぐに確認できます。匿名・無料でご利用いただけるシミュレーターをご用意しました。
無料費用シミュレーターを試す→関連記事
- 墓じまい業者の選び方|3タイプ比較と悪質業者チェックリスト
- 墓じまいの工事に立ち会いは必要?立ち会いなしの品質担保も解説
- 墓じまいで石屋さんへのお礼は必要?相場と渡し方のマナー
- 墓じまいの服装は喪服?平服?閉眼供養・立会い別マナーを解説
まとめ:墓石の行方はマニフェストで確認できる
撤去された墓石の正規ルートは、許可業者による破砕と再生砕石などへのリサイクルです。処分の責任(排出事業者)は施工業者にあり、その流れはマニフェストで最終処分まで追跡されます。施主がすべきことは、契約前に「マニフェストの写しを見せてもらえるか」を確認すること。この一言で業者の姿勢は見極められます。墓じまい全体の段取りは墓じまいの流れもあわせてご覧ください。安心墓じまいでは、工事前後の写真付き完了報告をお渡しし、ご契約後に着手金、残額は工事の完成をご確認後です。お見積り・ご相談はフォーム・LINEで24時間受け付けています。
参考文献
- e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
- 環境省「産業廃棄物管理票制度の運用について」
- 日本産業廃棄物処理振興センター「マニフェスト制度」
- 福島民友新聞「撤去の墓石を投棄疑い石材会社社長逮捕 喜多方、採石場跡に454キロ」
- お墓さがし「墓石はリサイクルや再利用できる!処理の流れについても解説」
墓じまいの費用、いくらかかる?
お墓の場所とお写真がわかれば、その場で概算をお伝えします。
ご相談・お見積りは無料です。
無理な勧誘は一切ありません。安心してご利用ください。

