
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
お墓の維持費は、年間管理料・お布施・修繕費・交通費の4項目で決まります。実測して積み上げると、年間の目安は1万5千円〜7万2千円、10年累計で15万円〜72万円、20年累計では30万円〜144万円にのぼります。結論から言うと、公営霊園で近距離なら維持を続けたほうが安く、民営霊園なら7年前後、寺院墓地・遠方なら3年前後で、安心墓じまいの定額プラン198,000円(税込)を上回ります。承継者がいない、または今後お参りが難しくなる見込みがあるなら、費用面でも「早く決める」ほうが総支払額を抑えられます。本記事では4項目の相場を積み上げ、3つの典型パターンで10年・20年累計と損益分岐点を表にまとめました。印刷してチェックできるリストもご用意していますので、ご自身のお墓と照らし合わせながら読み進めてください。
公営霊園・民営霊園・寺院墓地で維持費はどう違う?
維持費を考える前提として、お墓を持つ墓地の種類ごとに費用構造が大きく異なることを押さえておく必要があります。公営霊園は自治体が運営するため管理料が安く、宗教も不問です。民営霊園は財団法人や公益法人が運営し、施設やアクセスが充実している分、管理料はやや高めになります。寺院墓地は「檀家」として寺院を支える立場になるため、管理料に加えて護持会費やお布施、行事参加費といった、他の2種類にはない費用が継続的に発生します。同じ「年間管理料1万円」でも、寺院墓地の場合はそこに行事費やお布施が加算される点が、費用を比較するうえで見落とされがちなポイントです。本記事の試算でも、この違いが3パターン間の年間実質コストの差に大きく表れています。
お墓の維持費、年間いくら?4項目の実測相場
お墓の維持費は大きく分けて「年間管理料」「お布施」「修繕費」「交通費」の4項目で構成されます。項目ごとの相場を、複数の霊園・石材店・寺院の公開情報をもとに積み上げました。多くの解説記事では「年間管理料」だけが取り上げられがちですが、実際にはお布施・修繕費・交通費を含めて考えないと、10年・20年単位での総額を見誤ります。1つずつ内訳を見ていきましょう。
年間管理料の相場(公営・民営・寺院別)
年間管理料は、霊園内の清掃・共有通路の整備・植栽の手入れ・水道設備の維持・備品の修理交換などに充てられる費用です。多くの霊園では年1回、指定の口座への振込や口座振替で支払います。墓地の種類によって相場が異なり、施設が充実している霊園ほど高くなる傾向があります。
| 墓地の種類 | 年間管理料の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 公営霊園 | 5,000〜10,000円 | 自治体運営で最も安価な傾向 |
| 民営霊園 | 5,000〜15,000円 | 施設が充実しているほど高め |
| 寺院墓地(護持会費込み) | 10,000〜20,000円 | 本堂・境内の維持費などを含む |
都市部の霊園ほど管理料が高くなる傾向があり、地方の公営霊園では年間5,000円程度で済むケースもあります。逆に、送迎バスや休憩室、法要施設などが整った都市部の大規模民営霊園では、年間15,000円を超えることも珍しくありません。
お布施の相場(寺院墓地の行事・法要)
お布施は寺院墓地に特有の費用です。公営霊園・民営霊園(宗教不問)では基本的に発生しません。寺院墓地の場合、お彼岸(春・秋)やお盆(盂蘭盆会)などの行事に参加するたびにお布施を包むのが一般的で、年間では1万〜3万円程度になります。これとは別に、一周忌・三回忌・七回忌といった年忌法要を営むたびに、1回あたり3万〜5万円程度のお布施が必要になります。年忌法要は毎年ではなく数年おきに巡ってくるため、実際の支払いは「年によって金額が大きく変わる」点も特徴です。
| 項目 | 費用目安 | 頻度 |
|---|---|---|
| 彼岸会・盂蘭盆会などの行事参加費 | 10,000〜30,000円/年 | 寺院墓地のみ、年1〜数回 |
| 年忌法要のお布施 | 30,000〜50,000円/回 | 数年に1回程度(一周忌・三回忌など) |
| 寺院の改修工事に伴う寄付(志納金) | 数万円〜十万円単位 | 不定期、本堂・山門の改修時など |
寺院の改修工事に伴う寄付は、金額も時期も寺院ごとに大きく異なり、事前に予測するのが難しい費用です。檀家を続ける限り、こうした不定期の出費が発生し得ることも念頭に置いておく必要があります。
修繕費の相場(クリーニング・目地直し・磨き直し)
墓石は屋外にあるため、経年で汚れ・苔・ひび割れ、目地(継ぎ目)の劣化が起こります。定期的なメンテナンス費用も維持費の重要な一部です。放置すると劣化が進み、結果的に修繕費が高くつくこともあるため、計画的な積立を考えておくと安心です。
| 項目 | 費用目安 | 目安の頻度 |
|---|---|---|
| 墓石クリーニング(洗浄) | 10,000〜40,000円/回 | 5〜10年に1回 |
| 目地直し(コーキング打ち替え) | 30,000〜50,000円/回 | 10〜15年に1回 |
| 墓石の磨き直し | 200,000〜300,000円/回 | 20年前後に1回 |
| 防草対策(防草シート・砂利敷きなど) | 5,000〜25,000円/㎡ | 不定期 |
特に墓石の磨き直しは1回あたり20万〜30万円と高額で、これだけで安心墓じまいの定額プラン198,000円を上回ります。「そろそろ磨き直しが必要」というタイミングは、維持と墓じまいのどちらを選ぶかを検討する良い機会でもあります。
交通費の相場(距離別の目安)
意外と見落とされがちなのが、お墓参りにかかる交通費です。頻度と距離によって年間コストが大きく変わり、遠方に住んでいる場合は維持費全体の大半を占めることもあります。ガソリン代・高速代・新幹線代に加え、遠方の場合は宿泊費が加わることもあります。
| 距離の目安 | 年間の目安 | 想定回数 |
|---|---|---|
| 近距離(車で30分以内) | 3,000〜5,000円/年 | 年3〜4回 |
| 中距離(車で1〜2時間) | 8,000〜15,000円/年 | 年3〜4回 |
| 遠方(新幹線・飛行機利用) | 20,000〜50,000円/年 | 年1〜2回 |
進学・転勤・結婚などで実家から離れて暮らす人が増えたことで、「お墓参りのための交通費」が維持費の中で年々重くなっている家庭も少なくありません。次のセクションでは、これら4項目を組み合わせた具体的な試算を見ていきます。
お墓の広さや場所から、費用の目安がわかります。
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無料費用シミュレーターを試す→【一覧表】維持費3パターン×10年・20年累計シミュレーション
4項目を組み合わせ、よくある3つのパターンで「年間の実質コスト」を算出し、5年・10年・15年・20年の累計額を試算しました。年間実質コストには、管理料・お布施・交通費に加えて、修繕費(クリーニング・目地直し・磨き直しなど)を年割りにした積立分を含めています。
| パターン | 年間実質コスト | 5年累計 | 10年累計 | 15年累計 | 20年累計 |
|---|---|---|---|---|---|
| A. 公営霊園・近距離 | 約15,000円 | 75,000円 | 150,000円 | 225,000円 | 300,000円 |
| B. 民営霊園・中距離 | 約28,000円 | 140,000円 | 280,000円 | 420,000円 | 560,000円 |
| C. 寺院墓地・遠方 | 約72,000円 | 360,000円 | 720,000円 | 1,080,000円 | 1,440,000円 |
内訳の考え方は次のとおりです。パターンA(公営・近距離)は管理料8,000円+交通費3,000円+修繕積立4,000円。パターンB(民営・中距離)は管理料12,000円+交通費8,000円+お布施・修繕積立8,000円。パターンC(寺院・遠方)は管理料(護持会費込み)18,000円+お布施20,000円+交通費30,000円+修繕積立4,000円で計算しています。実際の支払いは、修繕費のように数年〜20年に一度まとめて発生する費用が含まれるため、毎年均等にかかるわけではない点にご注意ください。
3パターン別に見る、実際のケース
試算した3パターンが、実際にどのような家庭に当てはまるのか、具体的なイメージで見てみましょう。
パターンA:実家近くの公営霊園に、車で通えるケース
実家のそばに住み続けていて、公営霊園まで車で30分以内という家庭です。管理料が安く、交通費もかからないため、年間実質コストは約15,000円と最も低く抑えられます。この場合、承継者がいて今後もお参りを続けられる見込みがあるなら、無理に墓じまいを急ぐ必要はなく、13年以上先まで維持したほうが総額は安くなる計算です。
パターンB:実家を離れ、民営霊園まで年数回通うケース
進学や就職で実家を離れ、車や電車で1〜2時間かけて民営霊園にお参りしているケースです。年間実質コストは約28,000円で、7年ほどで安心墓じまいの定額198,000円を上回ります。今後もこのペースで通える見込みがあるかどうかが、判断の分かれ目になります。
パターンC:遠方に住み、寺院墓地の檀家を続けているケース
新幹線や飛行機を使わないとお参りできない距離に住み、寺院墓地の檀家として行事参加費やお布施も負担しているケースです。年間実質コストは約72,000円と最も高く、わずか3年ほどで198,000円を上回ります。承継者が近くにいない場合、このパターンが最も早く「維持より墓じまいのほうが安い」局面を迎えます。
墓じまい19.8万円との損益分岐点は何年目?
安心墓じまいの定額プラン198,000円(税込・追加費用なし)と、維持費の累計額を比較すると、パターンによって「墓じまいのほうが安くなる年」が大きく異なります。
| パターン | 年間実質コスト | 198,000円に達する年数 |
|---|---|---|
| A. 公営霊園・近距離 | 約15,000円 | 約13年目 |
| B. 民営霊園・中距離 | 約28,000円 | 約7年目 |
| C. 寺院墓地・遠方 | 約72,000円 | 約3年目 |
パターンAの公営霊園・近距離であれば、13年以上維持を続ける見込みがあるなら「維持を続ける」ほうが総額は安く済みます。一方、パターンB・Cのように民営霊園や寺院墓地で、交通費もかかる場合は、7年、あるいは3年程度で墓じまい費用を上回る計算になります。「あと何年、お参りを続けられそうか」を基準に考えると、判断がしやすくなります。なお、この試算には墓石の磨き直し(20万〜30万円)のような大きな修繕費が発生した年は、実際にはさらに早く198,000円を上回る点にも注意してください。
いずれ墓じまいするなら、30年後の総支払額はどう変わる?
承継者がいない場合、「今の世代が維持を続けても、いずれ誰かが墓じまいをする」のはほぼ確実です。そこで、30年間維持を続けたうえで最終的に墓じまいをする場合と、今すぐ墓じまいをする場合とで、総支払額を比較してみました。
| パターン | 30年維持+将来の墓じまい198,000円 | 今すぐ墓じまい+改葬先費用(3万〜10万円) | 差額の目安 |
|---|---|---|---|
| A. 公営霊園・近距離 | 約648,000円(450,000円+198,000円) | 228,000〜298,000円 | 約35万〜42万円お得 |
| B. 民営霊園・中距離 | 約1,038,000円(840,000円+198,000円) | 228,000〜298,000円 | 約74万〜81万円お得 |
| C. 寺院墓地・遠方 | 約2,358,000円(2,160,000円+198,000円) | 228,000〜298,000円 | 約206万〜213万円お得 |
「今すぐ墓じまい」の費用は、安心墓じまいの定額198,000円に、改葬先(合祀型の永代供養墓など)の費用3万〜10万円を加えた金額です。承継者がいない、あるいは将来的に確実に墓じまいをすることになると分かっているケースでは、30年間維持費を払い続けてから墓じまいをするより、今のうちに決断するほうが総支払額を大きく抑えられることが分かります。特にパターンC(寺院墓地・遠方)のように年間コストが高いケースでは、差額は200万円を超える試算になります。もちろん、これは「いずれ必ず墓じまいをする」ことが前提の比較であり、承継者がいて長期的に維持していく方針であれば、無理に急ぐ必要はありません。
維持費をなるべく抑える3つの工夫
すぐに墓じまいを決断するのが難しい場合、維持費そのものを抑える工夫もあります。承継者がいて今後も維持を続ける方針であれば、次の3点を見直すだけでも年間コストを数千円〜数万円単位で減らせることがあります。いずれも大きな契約変更を伴わず、次回の管理料支払いや墓石修繕のタイミングから取り入れやすい工夫です。
- お参りの頻度と交通手段を見直す:年4回の訪問を年2〜3回にまとめる、公共交通機関の早割・回数券を使うなどで、交通費を年間数千円単位で圧縮できます
- 修繕は複数社から相見積もりを取る:クリーニングや目地直しは石材店によって金額差が大きく、2〜3社を比較するだけで数千円〜1万円程度安くなることがあります
- 寺院墓地の場合は行事参加を最小限にする:必須ではない行事への参加を減らすことで、年間のお布施負担を抑えられる場合があります。ただし檀家としての関係性もあるため、住職に相談しながら進めるのが望ましいです
ただし、これらの工夫はあくまで「維持を続ける前提」での対策です。承継者がいない場合や、10年以上の長期でお参りが難しくなる見込みがある場合は、コストを抑えるより早期の墓じまいのほうが、総支払額・手間の両面で合理的です。
改葬先を変えると、その後の維持費はどう変わる?
墓じまい後の遺骨の供養方法(改葬先)によって、その後の維持費の有無も変わります。「墓じまいをすれば維持費が完全にゼロになる」とは限らない点は、事前に押さえておきたいポイントです。
| 改葬先 | 初期費用の目安 | その後の年間維持費 |
|---|---|---|
| 合祀型の永代供養墓 | 3万〜10万円 | 0円(管理料込みが一般的) |
| 樹木葬 | 20万〜80万円 | 0円のプランが多いが、個別区画型は管理料が残る場合あり |
| 納骨堂 | 20万〜100万円 | 0〜1万円程度(施設により異なる) |
| 海洋散骨 | 5万〜30万円 | 0円(お墓自体を持たない) |
合祀型の永代供養墓や海洋散骨を選べば、以後の年間管理料は基本的にかかりません。一方、樹木葬や納骨堂の中には、個別のスペースを一定期間確保するタイプがあり、その場合は数年〜十数年、少額の管理料が残ることもあります。「今後いっさい維持費をかけたくない」場合は、契約前に管理料の有無を必ず確認しましょう。改葬先ごとの詳しい選び方や特徴は、別記事でも整理していますので、あわせてご参照ください。
承継者がいない場合は「早期決断」が安い理由
維持費の損益分岐点だけで見れば「もう少し続けたほうが得」というケースもあります。しかし、承継者がいない、または次の世代が遠方で管理を引き継げない場合は、話が変わります。
- 管理料の滞納が一定期間続くと、墓地埋葬法や各霊園・寺院の管理規則に基づく手続きを経て、最終的に墓地使用権が取り消され「無縁墓」として合祀される可能性があります
- 無縁墓として処理される場合、遺骨の引き取りや個別の供養は難しくなり、遺族の意思で行き先を選べなくなります
- 承継者不在のまま先送りすると、結局は将来誰かが墓じまいの手続きと費用を負担することになり、その時点では今より墓石が劣化し撤去費用がかさんでいる可能性もあります
つまり、承継者がいないお墓は「いずれ墓じまいが必要になる」ことがほぼ確定しています。であれば、維持費を払い続けて先送りするより、早い段階で墓じまいを決断したほうが、総支払額は少なく、遺骨の行き先も自分たちの意思で選べます。墓地の使用権や管理に関する規定は、根拠法である墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)および各霊園・寺院の管理規則で定められています。ご自身のお墓の規約は、管理者に直接確認することをおすすめします。
都市部と地方で維持費はどれくらい違う?
同じ「公営霊園」「民営霊園」でも、立地によって管理料の水準は変わります。首都圏などの都市部は土地の維持コストが高く、送迎バスや休憩施設が整った霊園も多いため管理料が高めに設定される傾向があります。一方、地方の霊園は敷地の維持コストが比較的低く、シンプルな運営のぶん管理料も抑えられている霊園が多く見られます。
| エリア傾向 | 公営霊園の管理料 | 民営霊園の管理料 |
|---|---|---|
| 都市部(首都圏・近畿圏など) | 8,000〜12,000円/年 | 10,000〜15,000円/年 |
| 地方(郊外・地方都市) | 5,000〜8,000円/年 | 5,000〜10,000円/年 |
ただし、実家が地方にあり自分は都市部で暮らしている、というケースも多く、その場合は管理料の安さよりも交通費の負担が総コストを左右します。本記事のパターンB・Cのように、遠方居住による交通費の増加は、地域差による管理料の違いよりも影響が大きくなりやすい点は覚えておきたいポイントです。
維持費の支払い方法と滞納した場合の流れ
年間管理料の支払い方法は、霊園・寺院によって異なります。多くの公営・民営霊園では、年1回、指定口座への振込か口座振替で支払います。寺院墓地の場合は、住職やお寺の事務局に直接持参・手渡しするケースも残っています。支払いを忘れやすい場合は、口座振替への切り替えが可能か管理者に確認するとよいでしょう。遠方に住んでいて訪問しての手渡しが難しい場合も、多くの霊園・寺院では郵送や振込での対応を受け付けていますので、まずは相談してみることをおすすめします。
管理料を滞納すると、まず霊園・寺院から督促の連絡が入ります。それでも支払いがなく、連絡も取れない状態が一定期間(多くの場合1年〜数年)続くと、官報公告などの法的手続きを経て、墓地使用権が取り消されることがあります。取り消された墓地は更地に戻され、遺骨は他の無縁仏とともに合祀墓へ移されるのが一般的な流れです。この手続きが始まってしまうと、遺骨を個別に取り戻すことは難しくなります。「支払いが難しくなってきた」と感じた時点で、滞納する前に墓じまいの相談を始めるほうが、選択肢を自分たちで選べる分、安心です。
維持費をめぐってよくあるトラブルと防ぐコツ
維持費は毎年の小さな支払いに見えて、実は家族間のトラブルの火種になりやすい費用でもあります。年間数千円〜数万円という金額自体は大きくなくても、「誰が払うか」「いつまで払うか」が曖昧なまま何年も続くと、親族間の関係にじわじわと影響します。よくあるパターンと、防ぐためのポイントをまとめました。
「誰が払うか」を決めないまま先送りしてしまう
祭祀承継者(お墓を継ぐ人)が明確に決まらないまま、なんとなく長男が払い続けている、あるいは誰も払わず滞納が続いている、というケースは少なくありません。管理料そのものは年間数千円〜数万円でも、話し合いを先延ばしにするほど関係がこじれやすくなります。本記事の年間実質コスト・累計額の試算を、家族で情報共有する材料として使うのも一つの方法です。「誰が、いつまで、いくら払うのか」を具体的な数字で共有しておくだけで、後々の認識のズレを防ぎやすくなります。
遠方に住む家族が負担の実感を持てない
お墓の近くに住む家族が管理料の支払いや草むしり・お参りの手間を担い、遠方の家族はその負担を実感しにくい、という不均衡もよく起こります。年間実質コストと10年・20年累計を数字で共有し、負担の分担方法(金銭的な分担、あるいは将来の墓じまい費用を遠方の家族が持つなど)を早めに話し合っておくと、感情的な対立を避けやすくなります。
寺院との関係を理由に決断を先延ばしにしてしまう
寺院墓地の場合、長年お世話になった住職との関係を考えて、墓じまいの相談を切り出しにくいという声もよく聞かれます。まずは「今後の維持が難しくなってきている」という現状を率直に伝えることが第一歩です。離檀料の相場や進め方については、あらためて別記事で詳しく解説しています。
自分の場合はどのパターン?チェックリスト
印刷してチェックしながら、自分のお墓がどのパターンに近いか確認してみてください。
- □ お墓は公営霊園・民営霊園・寺院墓地のどれか
- □ 自宅からお墓までの移動時間はどれくらいか
- □ 年に何回お参りに行けているか(行けそうか)
- □ 次にお墓参り・管理を引き継ぐ人がいるか
- □ 今後10年、20年先も今のペースで通える見込みがあるか
- □ 墓石の修繕(クリーニング・目地直し・磨き直し)をここ10〜20年で行ったか
- □ 管理料や護持会費の支払いを滞納したことがあるか
「承継者がいない」「お参りが難しくなってきた」「滞納したことがある」のいずれかに当てはまる場合は、維持費の損益分岐点を待たずに、墓じまいの相談を早めに始めることをおすすめします。逆に、チェックが1〜2個程度で、承継者もいて今後もお参りを続けられる見込みがあるなら、慌てて墓じまいを決める必要はなく、本記事の3パターンを目安に、今後の維持費の見通しを家族で共有しておくだけでも十分です。定期的にチェックリストを見直し、状況が変わったタイミングで再度判断することをおすすめします。
維持費を払い続けるか、墓じまいするか迷ったときの判断軸
ここまでの試算をまとめると、判断の軸は次の3つに整理できます。
- 費用面:パターンB・Cのように民営霊園・寺院墓地・遠方の場合、3〜7年程度で維持費の累計が墓じまい費用を上回ります。パターンAの公営霊園・近距離でも、13年を超えるとやはり逆転します
- 継承面:承継者がいない、または次世代が管理を引き継げない場合は、早期の墓じまいが将来の無縁墓化リスクを避ける手段になります
- 負担面:お参りの頻度が減り、心理的・体力的な負担が大きくなってきた場合も、決断のタイミングとして検討する価値があります
安心墓じまいでは、墓じまい一式198,000円(税込)〜の定額制で、追加費用は発生しません。お支払いは着手金と、工事完了後の残額払いの2回のみです。改葬許可申請の書類準備が難しい場合は、提携の行政書士をご紹介できます(ご契約・報酬は行政書士と直接のお取り決めとなります)。
お墓の維持費と同じように、誰も住まなくなった実家にも固定資産税などの費用がかかり続けます。税額が上がる条件は空き家の固定資産税(姉妹サイト「安心実家じまい」)で解説しています。
よくある質問
Q. お墓の維持費は誰が払うのですか?
法律上の決まりはなく、お墓の承継者(祭祀承継者)が支払うのが一般的です。ただし兄弟姉妹で分担するケースもあり、事前の話し合いが大切です。
Q. 維持費が急に増えることはありますか?
あります。墓石の磨き直し(20万〜30万円)や、寺院の改修工事に伴う寄付など、不定期・高額な出費が発生することがあります。本記事の年間実質コストには、こうした修繕費を年割りにした積立分を含めていますが、実際の支払いは数年〜20年に一度まとめて発生する点に注意してください。
Q. 維持費を払わずに放置するとどうなりますか?
管理料の滞納が一定期間続くと、墓地管理者から督促の連絡があり、それでも連絡が取れない場合は、規定の手続きを経て墓地使用権が取り消され、無縁墓として合祀される可能性があります。管理が難しくなった場合は、放置せず早めに墓じまいを検討することをおすすめします。
Q. 墓じまいをすれば維持費はもうかかりませんか?
これまでの墓地の年間管理料や修繕費は不要になります。ただし、遺骨の新しい供養先(改葬先)を合祀墓ではなく樹木葬や納骨堂にした場合は、その供養先で別途、年間管理料が発生することがあります。合祀型の永代供養墓や送骨サービスを選べば、その後の維持費はかからないケースがほとんどです。
Q. 管理料の未払いには時効がありますか?
民法上、金銭債権には消滅時効の考え方がありますが、墓地の使用契約や管理規則の内容は霊園・寺院ごとに異なります。時効を主張できるかどうかは個別の契約内容によるため、未払いがある場合は自己判断せず、まずは管理者に連絡して状況を確認することをおすすめします。放置すると無縁墓として処理が進んでしまう可能性があります。
Q. 兄弟姉妹で維持費を分担する場合、どう決めればいいですか?
法律上の決まりはないため、話し合いで決めるのが基本です。本記事のように年間実質コストを金額で可視化しておくと、「1人あたり年間いくら」という具体的な数字で分担を相談しやすくなります。今後10年、20年の累計額をあらかじめ共有しておくことで、将来的な墓じまいの検討もスムーズに進められます。
Q. 維持費の見積もりと、墓じまいの見積もりはどちらを先に取ればいいですか?
どちらも無料で確認できるなら、両方を並べて比較するのがおすすめです。今の墓地の年間管理料・修繕予定・交通費を確認したうえで、安心墓じまいのような定額プランの見積りも合わせて取ることで、本記事の試算をご自身の状況に置き換えて判断できます。見積り段階では契約の義務はありませんので、まずは概算を知ることから始めても問題ありません。
まとめ
お墓の維持費は、年間管理料・お布施・修繕費・交通費の4項目を合わせると、公営霊園・近距離で年間約15,000円、民営霊園・中距離で約28,000円、寺院墓地・遠方で約72,000円が目安です。累計すると、公営霊園・近距離なら約13年、民営霊園・中距離なら約7年、寺院墓地・遠方なら約3年で、安心墓じまいの定額198,000円を上回ります。承継者がいない場合は、この損益分岐点を待たずに早めの決断が、総支払額を抑える近道になります。特に、いずれ確実に墓じまいをすることになると分かっているケースでは、30年間維持費を払い続けてから墓じまいをするより、今のうちに決断したほうが数十万円〜200万円以上の差になることもあります。
安心墓じまいでは、墓じまい一式198,000円(税込)〜の定額制で、追加費用は一切ありません。お支払いは着手金と工事完了後の残額払いの2回のみです。改葬許可申請の書類準備が難しい場合は、提携の行政書士をご紹介できます(ご契約・報酬は行政書士と直接のお取り決めとなります)。無料相談はお電話(10:00〜18:00、土日祝休み)のほか、フォーム・LINEなら24時間受け付けています。まずはお墓の状況を教えてください。
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参考文献
墓じまいの費用、いくらかかる?
お墓の場所とお写真がわかれば、その場で概算をお伝えします。
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この記事の監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理

