墓じまいの挨拶で悩む方の多くは「何を、いつ、どんな言葉で伝えればよいか」に迷っています。結論から言うと、親族には事後報告と感謝、菩提寺には離檀の挨拶、石材店へはお礼状(送る場合は葉書1枚)という3つの型を押さえれば大丈夫です。本記事ではそのまま書き写せる文例と、トラブルを防ぐ言い回しの注意点を紹介します。
墓じまいの挨拶が必要な理由と伝える相手
墓じまいは、ご先祖のお墓を撤去し、ご遺骨を新しい供養先へ移す大きな節目です。関係する方々への挨拶は、単なる礼儀ではなく後々のトラブルを防ぐ役割を持ちます。伝える相手は主に「親族」「お寺(菩提寺)」「石材店」の3者です。
なぜ事前・事後の挨拶がトラブル防止になるのか
墓じまいは、ご本人だけの問題ではありません。同じお墓に眠るご先祖を大切に思う親族にとっても関わりの深い出来事です。事前に相談せず進めると、「勝手に決めた」と受け取られ、親族間の感情的な対立に発展することがあります。
そのため、着手前には親族と菩提寺へ相談・連絡し、作業が済んだあとに改めて挨拶状で報告する流れが基本です。挨拶では次の3点を必ず伝えます。
- 墓じまいをした(する)という事実と理由
- ご遺骨を移した新しい供養先の具体的な所在地
- これまでの理解や供養への感謝の言葉
挨拶状を送るタイミング
タイミングは相手と目的で分けて考えます。菩提寺や近しい親族への「相談」は、墓じまいに着手する前に済ませておきます。改葬には後述の手続きが必要で、菩提寺の理解も欠かせないためです。
一方、書面での「挨拶状(報告)」は、納骨(新しい供養先への納骨)が済んでから1週間程度を目安に送ると丁寧です。作業がすべて完了し、新しい供養先が確定してから報告することで、受け取った方も安心できます。
【親族向け】墓じまいの挨拶状の文例と書き方
親族向けの挨拶状は、事後報告とお詫び・感謝を兼ねた最も大切な書面です。ここでは基本の型と、そのまま使える文例を紹介します。
基本構成(頭語・時候・報告・理由・感謝・新供養先・結び)
正式な挨拶状は、次の順序で組み立てると読みやすくまとまります。
- 頭語(拝啓 など)
- 時候の挨拶(季節の言葉)
- 墓じまいをした報告
- 墓じまいに至った理由
- これまでの感謝の言葉
- 新しい供養先(納骨先)の名称と所在地
- 結びの言葉
- 結語(敬具 など)と日付・差出人
そのまま使える文例(理由別)
後継者不在を理由とする場合の文例です。
> 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
> このたび、〇〇家の墓所につきまして、後を継ぐ者がなく将来にわたる管理が難しいことから、墓じまい(改葬)を行うこととなりました。ご先祖の供養を続けてまいりましたが、熟慮のうえでの決断でございます。
> ご遺骨は〇〇(新しい供養先の名称・所在地)へ移し、今後は同所にて永代供養として大切にお守りいただくこととなりました。
> これまでご理解とお力添えを賜りましたことに、心より御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
> 敬具
遠方に住み管理が難しいことを理由とする場合は、3段落目を次のように差し替えます。
> 私どもが遠方に暮らしており、日頃のお参りや管理が行き届かない状況が続いておりました。よく話し合った結果、ご遺骨を〇〇(新しい供養先の名称・所在地)へ移し、今後はより身近な場所で供養を続けることといたしました。
書くときの注意点
トラブルを避けるため、言葉づかいには配慮します。
- 「お墓を処分した」といった強い表現は避け、「墓所を整理した」「改葬した」「今後は〇〇で供養する」と柔らかく言い換えます。
- 新しい供養先は、名称だけでなく所在地まで具体的に書きます。親族が今後お参りできるようにするためです。
- 墓じまいの挨拶状は、喪中はがきや忌明けの挨拶状とは目的が異なります。弔事用の文面を流用せず、報告と感謝を主眼にします。
費用や進め方に不安がある場合は、墓じまいの費用相場や墓じまいの流れもあわせてご確認ください。
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【お寺(菩提寺)向け】離檀の挨拶・お礼状の文例
先祖代々お世話になった菩提寺への挨拶は、離檀(檀家をやめること)を伴う場合が多く、特に丁寧さが求められます。角を立てず、長年の供養への感謝を中心に伝えます。
事前相談の切り出し方と伝え方
菩提寺には、まず口頭または書面で相談を切り出します。いきなり「やめます」と伝えるのではなく、事情を説明し、これまでの感謝を先に述べるのが円満に進めるコツです。
墓じまいでは、お墓から魂を抜く閉眼供養(魂抜き)を僧侶に依頼するのが一般的です。この読経のお願いとあわせて、離檀の意向を相談するとよいでしょう。
お礼状の文例(長年の供養への感謝)
離檀のお礼状は、葉書または短い手紙で、供養への感謝を中心に簡潔にまとめます。
> 拝啓 平素より格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
> このたびは、〇〇家の墓じまいにあたり、閉眼供養をお勤めいただき誠にありがとうございました。長きにわたりご先祖の供養をお導きくださいましたこと、家族一同、心より感謝申し上げます。
> ご遺骨は〇〇(新しい供養先)へ移し、供養を続けてまいります。これまで賜りましたご縁に深く御礼申し上げますとともに、〇〇寺様のますますのご隆盛をお祈り申し上げます。
> 敬具
離檀料・お布施の考え方と注意点
離檀に際して、これまでの感謝の気持ちとして「離檀料」やお布施をお渡しする場合があります。金額に法律上の決まりはなく、菩提寺との関係や地域の慣習によって幅があるため、本記事で相場を断定することは控えます。
高額な離檀料を巡ってトラブルになった例も報じられています。金額に不安がある場合は一人で抱え込まず、第三者に相談すると安心です。改葬の手続きと離檀の流れは改葬許可申請の進め方でも解説しています。
【石材店向け】お礼状は必要?文例と渡し方
墓石の撤去工事をお願いする石材店へのお礼について、必要かどうか迷う方が多いポイントです。
お礼は原則不要という近年の流れ
近年は、工事費を正しくお支払いすれば、別途の金品のお礼は不要という考え方が主流です。「お礼は不要です」と明示する石材店も増えています。まずは依頼先の方針を確認しましょう。
気持ちとして何か伝えたい場合でも、高額な品を無理に用意する必要はありません。工事完了後に葉書1枚程度の簡単なお礼状を送れば十分です。信頼できる業者の選び方は業者の選び方もご参考ください。
送る場合の葉書1枚の簡単な文例
> 拝啓 このたびは〇〇家の墓じまいにあたり、丁寧なお仕事をいただき誠にありがとうございました。おかげさまで無事に作業を終えることができました。心より御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
> 敬具
挨拶状の書式マナー(宛名・句読点・時候の挨拶)
改まった挨拶状には、いくつかの書式上のマナーがあります。丁寧な印象を与えるため、次の点を意識します。
- 正式な挨拶状は縦書きが基本です。手書きが難しい場合は、印刷でも失礼にはあたりません。
- 頭語と結語は必ず対で使います。「拝啓」なら「敬具」で結びます。
- 時候の挨拶は季節に合わせます。迷う場合は「時下」を使えば通年で使えます。
- 宛名は敬称を正しく使います。お寺は「〇〇寺様」「ご住職様」、個人には「様」を用います。
- 弔事に関する挨拶状では句読点を省く慣習もありますが、墓じまいの挨拶状は報告が主目的のため、読みやすさを優先して差し支えありません。
お墓の広さや場所から、費用の目安がわかります。
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挨拶と並行して、行政上の手続きも進めます。ご遺骨を別の場所へ移す「改葬」には、法律に基づく許可が必要です。
改葬許可証の取得の流れ
墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)第5条により、改葬には市町村長の許可が必要です。手続きの大まかな流れは次のとおりです。
- 現在の墓地の管理者から「埋蔵(収蔵)の証明」を受ける(埋葬証明書)
- 新しい供養先の管理者から「受入証明書」を発行してもらう
- 現在の墓地がある市区町村役所に「改葬許可申請書」を提出する
- 交付された「改葬許可証」を受け取り、ご遺骨の移動を行う
必要書類の名称や様式は自治体によって異なります。たとえば長野市では申請から交付まで1週間ほどかかるとされ、府中市では改葬先の使用承諾書(受入証明書)の原本とコピーが求められます。詳しくは現在の墓地がある市区町村役所の窓口でご確認ください。
なお、改葬許可の申請書類の作成や提出をご自身で行うのが難しい場合は、提携行政書士をご紹介します(お客様と直接ご契約いただき、報酬目安は33,000円〜です)。新しい供養先の選び方は改葬先の選び方をご覧ください。
よくある質問
Q. 挨拶状はどこまでの親族に送るべきですか?
A. 明確な決まりはありません。同じお墓に眠るご先祖と関わりの深い方や、日頃お参りされていた親族には送ると丁寧です。送付範囲はご家庭の事情によって異なるため、まずは近しい方から優先して報告するとよいでしょう。
Q. 挨拶はメールやLINEで済ませてもよいですか?
A. 事前の相談を口頭やメールで行うのは問題ありません。ただし、菩提寺への離檀の挨拶や、目上の親族への正式な報告は、書面(葉書・手紙)で送るほうが誠意が伝わります。相手との関係性に応じて使い分けましょう。
Q. 墓じまいの挨拶状は、喪中はがきと何が違いますか?
A. 目的が異なります。喪中はがきは年賀欠礼を知らせるものですが、墓じまいの挨拶状は「墓所を整理し、新しい供養先へ移した」という報告と感謝が主眼です。弔事用の文面をそのまま流用せず、報告と感謝を中心にまとめます。
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まとめ
墓じまいの挨拶は、次の3点を押さえれば安心して進められます。
- 親族へは事後報告と感謝を、菩提寺へは離檀の挨拶と長年の供養への感謝を伝える
- 「処分」など強い言葉を避け、新しい供養先の所在地を必ず明記する
- 相談は着手前に、書面での挨拶状は納骨後1週間程度を目安に送る
石材店へのお礼は原則不要で、送る場合も葉書1枚で十分です。挨拶と合わせて、改葬許可申請などの手続きも忘れずに進めましょう。
安心墓じまいでは、挨拶や手続きのご相談を無料でお受けしています。基本プランは298,000円(税込・2㎡まで・石塔1基)で、費用は作業完了後の残額払い・追加請求はありません。お電話(10:00-18:00/土日祝休み)、またはフォーム・LINE(24時間受付)よりお気軽にご相談ください。料金の詳細は料金ページをご覧ください。
参考文献
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