
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
沖縄の墓じまいを検討している方に向けて、門中墓(むんちゅうばか)・亀甲墓(かめこうばか)特有の事情と費用、進め方をまとめました。結論から言うと、沖縄の墓じまいは「お金より先に、門中・親族の合意」が最大の関門です。費用は個人のお墓なら総額35万〜150万円程度が目安ですが、大型の亀甲墓は撤去だけで100万円を超えることもあります。一方で手続き自体は本土と同じ改葬許可の流れで、県外在住のまま完結させることも可能です。本記事では、厚生労働省の統計データと那覇市の公式情報をもとに、門中の合意形成のコツを中心に解説します。
沖縄の墓じまいが本土と違う3つの理由
沖縄のお墓は、本土の一般的な家墓とは成り立ちが大きく異なります。墓じまいを進める前に、次の3つの違いを押さえておくと、その後の段取りがスムーズになります。
門中墓は「一族の共同墓」— 個人の判断では動かせない
門中(むんちゅう)とは、始祖を同じくする父系の血縁集団のことで、沖縄本島を中心に広く残る仕組みです。門中墓はその一族全体の共同墓で、数十人から、大きな門中では数百人規模の遺骨が納められていることもあります。
本土の家墓であれば、祭祀承継者(お墓を継いだ人)の判断で墓じまいを進められるケースが多いのに対し、門中墓は「自分の家だけのお墓ではない」点が決定的に違います。墓じまいや分骨には、宗家(ムートゥヤー)をはじめとする門中の関係者への相談と合意が事実上不可欠です。法律上の手続きが簡単でも、合意形成を飛ばすと親族トラブルに直結します。この合意形成の具体的な進め方は、後半で詳しく解説します。
亀甲墓・破風墓は大型 — 撤去費が本土の数倍になることも
亀甲墓(かめこうばか)は屋根が亀の甲羅のような形をした沖縄独特のお墓で、破風墓(はふばか)は屋根が三角形の様式です。どちらも本土の墓石とは構造がまったく異なり、石やコンクリートでできた「小さな家」のような建造物です。墓室(遺骨を納める内部空間)を持ち、敷地は数㎡から、大きなものでは数十㎡に及びます。
宜野湾市の墓地基本計画でも、亀甲墓や破風墓は「地域固有の風土景観を創り出しており、貴重な景観資源」と位置づけられているほど、地域の風景に根ざした存在です。それだけに解体は大がかりで、墓石撤去の一般的な目安「1㎡あたり約10万円〜」で単純計算すると、10㎡の亀甲墓なら撤去だけで100万円前後になる計算です。重機が入れない場所ならさらに割高になります。
個人墓地が大半 — 管理者がいないお墓が多い
本土では寺院墓地や公営・民営霊園にお墓があるのが一般的ですが、沖縄では個人の土地に建てられた「個人墓地」が大半を占めます。宜野湾市の墓地基本計画では、市内の既存墓地の9割は個人墓地とされています。
個人墓地の墓じまいには、次の特徴があります。
- 寺院墓地ではないため、離檀料は原則発生しない
- 墓地の管理者がいないため、改葬手続きで必要な「埋蔵の証明」を誰がするかが問題になりやすい(市町村への相談で解決できます。後述)
- 撤去後の土地の扱い(売却・返還・原状回復の範囲)を土地の名義人と決めておく必要がある
- 古いお墓では土地や墓の名義人がすでに亡くなっており、相続関係の整理が必要になることがある
データで見る沖縄の改葬 — 那覇市は火葬件数の約48%に相当する改葬が行われている
厚生労働省「衛生行政報告例」(令和5年度)によると、沖縄県の改葬件数は年間4,983件、うち那覇市だけで1,734件です。全国の改葬件数は166,886件なので、人口規模の小さい沖縄県が全国の約3%を占めていることになります。
改葬がどれだけ活発かを見るために、同じ統計の火葬件数(死体)と比べてみます。
| 地域 | 改葬件数(年間) | 火葬件数(死体) | 火葬件数に対する改葬の比率 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 166,886件 | 1,605,751件 | 約10% |
| 沖縄県 | 4,983件 | 16,097件 | 約31% |
| 那覇市 | 1,734件 | 3,645件 | 約48% |
※厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」第6表より当サイト集計。比率は活発さを見るための参考値です。
全国では火葬10件に対して改葬1件の割合ですが、沖縄県では約3件、那覇市では約5件に相当します。門中墓から個人・夫婦単位のお墓や納骨堂へ移す動きや、老朽化した個人墓地の整理が、全国的に見ても際立って活発なのが沖縄です。「うちだけが門中墓を出るなんて」と気に病む必要はなく、統計上はむしろ全国で最も改葬が身近な地域のひとつと言えます。
沖縄の墓じまい費用相場
費用内訳(撤去・閉眼供養・改葬先)
| 項目 | 費用目安 | 沖縄での補足 |
|---|---|---|
| 墓石・墓の撤去/処分 | 10万〜30万円(一般的な広さ) | 1㎡あたり約10万円〜が目安。亀甲墓・門中墓は面積次第で50万〜100万円超も |
| 閉眼供養・御願(ウグヮン) | 3万〜10万円程度 | 僧侶の閉眼供養のほか、地域や家によってはユタ・神人への御願を行う場合も。金額は依頼先次第 |
| 離檀料 | 0円〜 | 個人墓地では発生しない。寺院墓地の場合のみ3万〜20万円程度 |
| 改葬許可申請 | 無料 | 那覇市は手数料無料。他市町村も窓口で確認を |
| 遺骨の洗骨・乾燥 | 1体数千円〜数万円 | 沖縄の墓室内の遺骨は湿気を含んでいることが多く、粉骨や納骨堂に移す前に洗浄・乾燥が必要な場合がある |
| 改葬先の費用 | 3万〜100万円 | 合祀墓・送骨なら数万円台。遺骨の体数が多いと総額が膨らみやすい |
内訳ごとの詳しい相場は墓じまいの費用相場でも解説しています。
沖縄で費用が膨らみやすい2つのポイント
本土との違いで費用に効くのは「墓の大きさ」と「遺骨の数」です。
- 墓の大きさ: 撤去費は面積にほぼ比例します。亀甲墓はコンクリート造の墓室があるため、同じ面積でも解体の手間が大きく、斜面や細い道の先にある個人墓地では重機搬入費も上乗せされます。
- 遺骨の数: 改葬許可申請書は遺骨1体につき1通、改葬先の費用も1体ごとに発生するのが基本です。門中墓には数十体が納められていることも珍しくなく、遺骨が10体あれば合祀墓(1体3万円〜)でも30万円〜かかる計算です。誰の遺骨が何体あるかを最初に確認することが、正確な見積もりの第一歩です。
ケース別シミュレーション3例
| ケース | 撤去費 | 供養・その他 | 改葬先費用 | 総額目安 |
|---|---|---|---|---|
| 【A】個人墓地の小型墓(2㎡・遺骨3体)を合祀墓へ | 約20万〜30万円 | 閉眼供養3万〜5万円 | 3体×3万円=約9万円 | 約32万〜44万円 |
| 【B】中型の破風墓(6㎡・遺骨8体)を納骨堂へ | 約60万円〜 | 供養・洗骨で5万〜15万円 | 納骨堂20万〜100万円 | 約85万〜175万円 |
| 【C】門中墓は残し、自分の系統の遺骨2体だけ分骨・改葬 | 0円(墓は残す) | 供養3万〜5万円+墓の開閉作業 | 2体×3万〜10万円 | 約10万〜30万円 |
※撤去費は「1㎡あたり約10万円〜」の目安による単純計算です。実際は墓の構造・立地で変動するため、現地写真での見積もりをおすすめします。ケースCのように「墓じまいをせず、遺骨だけ移す」選択肢があるのは門中墓ならではです。
安心墓じまいでは、墓じまい一式198,000円〜(税込)でお引き受けしています。追加費用はなく、お支払いは着手金と完成後の残額払いです。大型の亀甲墓・門中墓も、お墓の写真と場所がわかれば概算をお伝えできます。詳しくは料金プランをご覧ください。
費用を安く抑える3つのコツ
- 相見積もり: 大型の亀甲墓ほど業者間の価格差が金額として大きく出ます。写真と場所を送るだけで概算を出す業者を2〜3社比べるだけで、数万〜数十万円変わることもあります。見積書は「撤去・整地・遺骨取り出し・処分費」の内訳が書かれているものを選びましょう。
- 改葬先を合祀墓・送骨にする: 遺骨の体数が多い沖縄では、改葬先の単価が総額を左右します。合祀型の永代供養墓や送骨サービスなら1体3万円前後からに抑えられます。
- 分骨で規模を小さくする: 墓全体の撤去が難しい・高額になる場合、自分の系統の遺骨だけ先に改葬すれば、撤去費ゼロで「お参り先の確保」という当面の目的は果たせます。
お墓の広さや場所から、費用の目安がわかります。
かんたんな質問に答えるだけで、墓じまいの費用イメージがすぐに確認できます。匿名・無料でご利用いただけるシミュレーターをご用意しました。
無料費用シミュレーターを試す→門中・親族の合意形成のコツ — 沖縄の墓じまいで一番大切なこと
沖縄の墓じまいが頓挫する原因のほとんどは、費用でも手続きでもなく「親族の反対」です。逆に言えば、合意形成さえ丁寧に進めれば、あとは実務だけです。ここでは順を追ってコツを解説します。
まず「誰の合意が必要か」を整理する
法律上、改葬の申請者となるのは墓地使用者や祭祀承継者ですが、門中墓では実態として次の3層の関係者がいます。
| 関係者 | 立場 | 合意の必要度 |
|---|---|---|
| 宗家(ムートゥヤー)・墓の管理者 | 門中墓を代々守ってきた本家筋。実質的な決定権を持つことが多い | 必須。最初に相談する相手 |
| 門中の主要メンバー・門中会 | 清明祭(シーミー)などの行事を共にする一族。門中会の会則や総会がある場合も | 墓全体を撤去する場合は必須。分骨のみなら報告+了承が現実的 |
| 自分の直系の親族(兄弟姉妹・おじおば) | 費用負担や改葬先の決定に直接関わる | 必須。費用分担もここで決める |
ポイントは、「門中墓全体の墓じまい」なのか「自分の系統の遺骨だけの改葬(分骨)」なのかで、必要な合意の範囲がまったく違うことです。前者は門中全体の総意が必要ですが、後者は宗家・管理者の了承を軸に進められるケースが多く、ハードルが大きく下がります。
話し合いの進め方5ステップ
- 言い出す前に情報を揃える: 遺骨の体数、墓の広さ、費用の概算、改葬先の候補を先に調べておきます。「なんとなく大変だから」ではなく「継ぐ人がいない。放置すれば無縁化する。費用は〇万円で、供養先はここを考えている」と具体案で話せると、反対する側も検討のしようがあります。
- 最初は宗家・管理者に一対一で相談する: いきなり親族全員の場(清明祭など)で切り出すと、その場の空気で反対に傾きがちです。まず墓を守ってきた宗家に敬意を払い、個別に相談して味方になってもらうのが定石です。
- 「墓を捨てる」ではなく「供養を続けるための引っ越し」と伝える: 反対の多くは「先祖をないがしろにするのか」という感情面です。改葬は遺骨を捨てることではなく、参りやすい場所・管理の続く場所へ供養先を移すことだと丁寧に伝えます。改葬後も手を合わせられる場所が残ることを、パンフレットや写真で見せると効果的です。
- 費用負担の案を先に示す: 「言い出した人が全額持つのか」は必ず論点になります。祭祀承継者が負担するのが一般的ですが、兄弟・親族での分担も多く、先に「自分は〇万円出す。残りをこう分けたい」と案を出すと話が進みます。詳しくは墓じまいの費用は誰が払う?をご覧ください。
- 結論を急がず、行事の機会を活用する: 清明祭や法事など親族が集まる機会に少しずつ話を重ね、1年がかりのつもりで進めます。書面(同意書)は最後の確認として使い、まず口頭の了承を積み上げるのが沖縄では現実的です。
門中合意チェックリスト(印刷して使えます)
- □ 墓の名義人(墓地使用者・土地名義人)を確認した
- □ 納められている遺骨の体数と、誰の遺骨かを確認した
- □ 「墓全体の撤去」か「自分の系統の分骨のみ」か方針を決めた
- □ 宗家(ムートゥヤー)・墓の管理者に個別に相談した
- □ 門中会・主要メンバーへの説明の場を持った(または報告した)
- □ 直系親族と費用分担の合意ができた
- □ 改葬先(供養先)の候補を親族に共有した
- □ 閉眼供養・御願をどう行うか(僧侶・ユタ・神人など)を決めた
- □ 撤去後の土地の扱い(名義・売却・返還)を決めた
- □ 反対している人の「何が引っかかっているか」を個別に聞いた
すべてにチェックが付けば、あとは事務手続きだけです。逆に3つ以上空欄のまま業者に発注すると、工事直前の中止(キャンセル料の発生)につながりやすいので、順番を守ることをおすすめします。
よくある反対パターン別の向き合い方
実際の話し合いで出やすい反対には、いくつかの型があります。型ごとに「何に引っかかっているのか」を見極めると、返す言葉が変わります。
| 反対の型 | 本当の懸念 | 向き合い方の例 |
|---|---|---|
| 「先祖に申し訳ない」 | 供養が絶えることへの不安 | 改葬先でも永代にわたり供養が続くこと、閉眼供養・御願をきちんと行うことを具体的に示す。改葬先の資料や写真を一緒に見る |
| 「今のままでいい」 | 現状維持の安心感。将来像が見えていない | 今の管理者が動けなくなった後、誰が草刈りや修繕を担うのかを一緒に考える。無縁化してからの整理は費用も手間も増えることを伝える |
| 「勝手に決めるな」 | 相談の順番・敬意の問題 | 内容より先に謝意と相談の姿勢を示す。決定事項として伝えるのではなく「相談したい」から入り直す |
| 「金は出さないぞ」 | 費用負担への警戒 | 負担を求めない選択肢(言い出した側が中心に負担する等)も含め、分担案を複数示す。同意だけもらい費用は求めない形も現実的 |
共通するコツは、反対を「説得して倒す」のではなく、懸念を一つずつ解消していくことです。特に沖縄では、お墓は先祖祭祀の中心であり、清明祭で親族が集う場でもあります。「集う場がなくなる」ことへの寂しさに対しては、改葬先を新しい集いの場にする提案(納骨堂での法要、命日の集まりなど)が有効です。
どうしても全員の合意が取れないとき — 分骨という落としどころ
門中の中に強い反対者がいる場合、無理に墓全体の撤去を進めるのは得策ではありません。現実的な落としどころが「門中墓は残し、自分の系統の遺骨だけを取り出して改葬する」方法です。墓そのものは門中に残るため反対されにくく、費用も撤去費がかからない分小さくなります(前述ケースC)。この場合も遺骨を取り出す以上、改葬許可申請は必要です。将来、門中全体で墓じまいの機運が高まったときに、改めて全体の話をすればよいのです。
改葬手続きの流れと窓口(那覇市の例)
那覇市の窓口はハイサイ市民課(手数料無料・郵送可)
那覇市では、本庁1階のハイサイ市民課 証明グループ(電話098-862-3274)が改葬許可申請の窓口です。首里・真和志・小禄の各支所でも受け付けていますが、郵送申請は本庁のみの対応です。手数料は無料、受付は平日8:30〜17:15です(那覇市は慰霊の日6月23日も閉庁)。他の市町村も、住民票やお悔やみ関係の窓口が担当していることが多く、市町村名+「改葬許可」で公式サイトを確認するか電話で問い合わせましょう。
必要書類 — 個人墓地は「埋蔵の証明」に注意
- 改葬許可申請書(遺骨1体につき1通)
- 墓地使用者(名義人)の承諾書または同意の署名 — 申請者と墓の名義人が違う場合
- 現在埋蔵されている事実を証する書面 — 霊園なら管理者が発行。管理者のいない個人墓地の場合は、証明を誰がするか市町村窓口に相談(親族の申立書等で対応できる場合があります)
- 改葬先の受入証明書など、改葬先が決まっていることの確認資料
- 本人確認書類、(代理の場合)委任状
書き方の詳細は改葬許可申請の方法で解説しています。門中墓は遺骨の体数が多く、古い遺骨は氏名や埋葬年が不明なことも珍しくありません。氏名不詳の遺骨の申請方法も市町村窓口で相談できます。書類集めが難しい場合は、提携行政書士をご紹介できます(ご契約・報酬は行政書士と直接。報酬目安33,000円〜)。
手続きの流れ5ステップ
- 門中・親族の合意を得て、遺骨の体数を確認する
- 改葬先(供養先)を決めて契約し、受入証明書をもらう
- お墓のある市町村に改葬許可申請書を提出し、許可証を受け取る(遺骨1体につき1通)
- 閉眼供養・御願を行い、遺骨を取り出して墓を撤去・整地する
- 改葬先に許可証を提出して納骨する
全体像は墓じまいの流れも参考にしてください。
撤去後の土地はどうする? — 個人墓地ならではの論点
霊園や寺院墓地なら区画を管理者に返還して終わりですが、個人墓地では撤去後に「更地になった自分たち(または親族)の土地」が残ります。主な選択肢は次の3つです。
- そのまま所有し続ける: 固定資産税や草刈りなどの管理は続きます。まずは土地の名義人が誰かを法務局の登記で確認しましょう。名義人がすでに亡くなっている場合は相続登記が必要です(相続登記は2024年から義務化されています)。
- 売却・活用する: 立地によっては売却や畑としての利用も考えられます。墓地として都道府県知事等の許可を受けていた土地は、廃止の手続き(墓地の廃止許可)が関わる場合があるため、市町村の墓地担当窓口に確認してから進めるのが安全です。
- 親族・門中に引き継ぐ: 門中の共有地に近い扱いだった土地は、撤去後の帰属を合意形成の段階で決めておくと、後々の争いを防げます。
「お墓の撤去」と「土地の整理」は別の手続きです。見積もり時に、整地の範囲(どこまで更地に戻すか)も書面で確認しておきましょう。
県外在住でも大丈夫 — 沖縄のお墓を遠隔で墓じまいする手順
進学や就職で本土に移り住み、「沖縄の実家のお墓だけが残っている」という方は多くいます。結論として、沖縄への帰省は最小限(場合によってはゼロ)で墓じまいは完結できます。
遠隔で進める6ステップとかかる期間
| ステップ | やること | 沖縄に行く必要 | 期間目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 親族合意 | 電話・LINE・帰省時に門中/親族と話す | 清明祭など帰省の機会を活用 | 数か月〜1年 |
| 2. 見積もり | お墓の写真と場所を業者に送って概算取得 | 不要(現地調査は業者が実施) | 1〜2週間 |
| 3. 改葬先の契約 | 本土の自宅近くの霊園・納骨堂や、送骨で沖縄県内外の合祀墓へ | 不要 | 2週間〜1か月 |
| 4. 改葬許可申請 | 那覇市は郵送申請可(本庁のみ)。他市町村も郵送対応を電話確認 | 不要 | 2週間前後 |
| 5. 供養・撤去工事 | 閉眼供養と撤去。立ち会いは必須ではなく、写真報告で完了確認できる業者も | 立ち会いたい場合のみ | 2週間〜1か月 |
| 6. 納骨 | 取り出した遺骨を改葬先へ。ゆうパックの送骨も活用可 | 納骨式に出る場合のみ | 1〜2週間 |
実務だけなら2〜3か月、親族合意を含めると半年〜1年半が現実的なスケジュールです。遺骨を本土の供養先へ送る場合は、日本郵便のゆうパックによる送骨が使えます。手順はゆうパックで送骨する方法で詳しく解説しています。
注意点はひとつ、遺骨の状態です。沖縄の墓室内の遺骨は湿気を含んでいることが多く、本土の納骨堂や粉骨サービスに移す前に洗骨・乾燥の工程が必要になる場合があります。見積もり時に「遺骨の洗浄・乾燥込みか」を確認しておくと、あとから費用が増える事態を防げます。
遠隔で頼むときの業者選びチェックポイント
- □ 亀甲墓・門中墓の施工に対応しているか(本土基準の料金表だけの業者は要確認)
- □ 写真・動画での進捗報告と完了報告書があるか
- □ 見積もりに遺骨の取り出し・洗骨・処分費まで含まれているか、内訳が明記されているか
- □ 追加費用の発生条件が契約前に書面で示されるか
- □ 支払いのタイミング(全額前払いを求められないか)
とくに県外からの依頼では、現地を自分の目で確認できない分、「報告の仕組み」と「見積もりの内訳」の2点で業者の誠実さを見極めるのが確実です。選び方の全般は墓じまい業者の選び方で詳しく解説しています。
自分でやるか、任せるか迷ったら。
安心墓じまいは定額制・追加請求なし・着手金+完成後の残額払い。遺骨の取り出しから撤去、供養先のご案内までお任せいただけます。
沖縄の改葬先の選択肢
| 供養方法 | 費用目安(1体あたり) | 沖縄での特徴 |
|---|---|---|
| 合祀型の永代供養墓 | 3万〜10万円 | 最も安価。遺骨の体数が多い門中墓の改葬先として現実的 |
| 納骨堂 | 20万〜100万円 | 県内は那覇市周辺を中心に選択肢が増加。台風でも参拝しやすい屋内型 |
| 樹木葬 | 20万〜80万円 | 継承者不要。県内・本土とも区画が増えている |
| 海洋散骨 | 5万〜30万円 | 沖縄の海での散骨を選ぶ方も。粉骨が前提 |
| 本土の自宅近くのお墓・納骨堂 | 契約先による | 県外在住者に人気。送骨と組み合わせれば帰省不要で納骨まで完了 |
「これからも自分が参りやすい場所」を基準に選ぶのがおすすめです。選び方の詳細は改葬先の選び方を、遺骨の行き先全般は墓じまい後の遺骨の行き先をご覧ください。
沖縄県に墓じまいの補助金はある?
2026年8月時点で、沖縄県および那覇市の公式サイトでは、墓じまい(墓石撤去・改葬)に対する補助金・助成金制度は確認できませんでした。千葉県市川市や群馬県太田市のように助成制度を持つ自治体は全国に一部ありますが、お住まいの市町村に制度があるかは公式サイトか窓口で最新情報をご確認ください。補助金がある自治体の例は墓じまいの補助金で紹介しています。
よくある質問
Q. 門中墓の墓じまいは、門中全員の同意がないとできませんか?
法律上の申請者は墓地使用者(名義人)や祭祀承継者で、「全員の同意書」が法的に必須なわけではありません。ただし実務上、宗家や門中の了承なしに進めると深刻な親族トラブルになります。墓全体の撤去は門中の総意を、自分の系統の分骨のみなら宗家・管理者の了承を目安に、丁寧に合意を得てから進めることを強くおすすめします。
Q. 亀甲墓の撤去費用はいくらぐらいかかりますか?
墓石撤去の一般的な目安は1㎡あたり約10万円〜で、面積と構造次第です。小型なら数十万円、10㎡クラスの大型亀甲墓では単純計算で100万円前後になることもあります。重機の入りやすさでも変わるため、写真と場所がわかる資料で複数社から見積もりを取るのが確実です。
Q. ユタや御願(ウグヮン)は必ず必要ですか?
法律上の決まりはありません。僧侶による閉眼供養だけで進める家もあれば、地域や家の慣習としてユタ・神人への御願を行う家もあります。大切なのは親族が納得できる形にすることです。誰にどう依頼するかも含めて、合意形成の話し合いの中で決めておくとスムーズです。
Q. 東京在住ですが、沖縄の墓じまいを最後まで任せられますか?
可能です。改葬許可申請は那覇市の場合、本庁への郵送申請ができます。現地の立ち会いは必須ではなく、写真報告で工事完了を確認できます。遺骨はゆうパックの送骨で本土の供養先へ送ることもでき、帰省なしで納骨まで完了させることが可能です。
Q. 門中墓の中の遺骨が誰のものかわからないのですが?
古い門中墓ではよくあることです。改葬許可申請は遺骨1体ごとに行いますが、氏名や埋葬年が不明な遺骨の申請方法(「不詳」としての記載など)は市町村の窓口で相談できます。まず墓を開けて体数を確認し、親族の記憶や位牌(トートーメー)、門中の系図(家譜)と突き合わせながら整理していくのが実務的な進め方です。
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まとめ
沖縄の墓じまいは、門中墓・亀甲墓という独特のお墓ゆえに「親族合意」と「撤去費」のハードルが本土より高い一方、統計上は全国有数の改葬が活発な地域です。順番は、(1)門中・親族の合意 → (2)改葬先の決定 → (3)改葬許可申請 → (4)供養・撤去 → (5)納骨。合意が難しければ、墓を残して自分の系統だけ分骨する方法もあります。県外在住でも郵送申請と送骨で完結できます。
安心墓じまいでは、墓じまい一式198,000円〜(税込・追加費用なし)でサポートしています。お支払いは着手金と完成後の残額払いです。門中墓・亀甲墓の概算も、お墓の写真と場所がわかればその場でお伝えします。無料相談はお電話(10:00〜18:00、土日祝休み)のほか、フォーム・LINEなら24時間受け付けています。お気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」第6表(e-Stat)
- 那覇市「改葬許可申請」
- 沖縄県「墓地、埋葬等に関する法律に基づく手続き」
- 宜野湾市「墓地基本計画」
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」
墓じまいの費用、いくらかかる?
お墓の場所とお写真がわかれば、その場で概算をお伝えします。
ご相談・お見積りは無料です。
無理な勧誘は一切ありません。安心してご利用ください。
この記事の監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士|東京司法書士会 第7135号・東京都行政書士会 第11924号
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続手続きや改葬・墓じまいに関わる法律手続き、名義変更などを担当する。安心墓じまいの提携司法書士・行政書士。当サイトでは、改葬許可申請などの行政手続きと、相続・名義に関する法務部分を監修しています(墓じまいの施工内容・費用は監修対象外)。 監修者プロフィール・監修範囲 →
監修者プロフィールの詳細
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 改葬・墓じまいの手続き
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理

